詩はいいな

 

・喜びて雨に流すや悲しみも

詩はいいな。
くどくど書いていないところが。
小説だと、
小説だから、
何がなにして何とやらと
説明しなければならない。
説明できているうちはいいけれど、
説明できないことだってある。
人に告ぐべきことの適わぬこともある。
好きなまど・みちおさんの詩に「どうして いつも」がある。

太陽

そして



やまびこ

ああ 一ばん ふるいものばかりが
どうして いつも こんなに
一ばん あたらしいのだろう

*****

詩はまた一つ一つが短いから、
引用するのに楽でいい。
スッと気持ちが添う。
無理して立って歩いて
要らぬことでも話してみた り
ときどきは
ぎごちなくなら ぬよう
笑ってゐる
梅雨の晴間の 月がぽっかり
でておりました

・しぐれゆく苦渋六月あと五日  野衾