孤独な作業

 

・新緑のぎざぎざ先の滴かな

著者からいただいた原稿は、
編集ソフトで組んでから出力し、
校正刷り、ゲラ刷りとして精読しますが、
弊社の場合、
ここにいちばん時間をかけます。
じっくりと丁寧に読み、
語調をととのえ疑問を記していきます。
チェックは朱でなく鉛筆で。
この作業を通じ、
営業トークとは別に、
弊社の仕事ぶりを
著者に分かってもらいたいと願っています。
時間をかけ、
時間はかかりますが、
面白いことも無類といっていいでしょう。
ゲラ読みは、
原稿と向き合う孤独な作業ですが、
集中してくると、
まるで言霊に乗り移られるかのごとく、
なんの巡礼に向かうのか、
同行二人の状態を呈してきます。
そうすると、
どんなに専門性の高い内容でも、
あたりまえのことながら、
文章は必ずそれを書いた人がい、
行住坐臥の暮らしが仄見えてきて、
ひと呼吸ひと呼吸、
たしかにそこに人がいると深く感じられます。
この感じをこれからも大切にしていきたい。
今日、
弊社の創立十五周年を期し
リニューアルした「春風新聞」の見本が届きます。

・新緑や内外(うちと)のしずく光りをり  野衾