ベルベル人の音楽と日本の唄

 

・一年の後半戦に入る日かな

今年二月に『ベルベル語とティフィナグ文字の基礎』という本を出した。
著者は、
創価大学教授の石原忠佳(いしはら・ただよし)さん。
ベルベル人は、
3000年以上前から北アフリカに住む原住民。
著者の石原さんは今から40年前、
アフリカの風土と文化に興味を持ち、
その言葉を学ぼうと思い立った。
気の遠くなるような時間の中で、
アラビア語を話すエジプト人も理解できない言語に遭遇する。
それがベルベル人のベルベル語だった。
ベルベル語は、
当時公の場では使用が禁止されていたらしい。
わたしたちは学校で、
「意味の分からない言葉を話す野蛮人」
という意味のギリシャ語「バルバロイ」の語を習うが、
ベルベルとはこのバルバロイに由来するという。
今回の『ベルベル語とティフィナグ文字の基礎』は、
石原さんの長年の研究成果をまとめたもので、
世界で初めての体系的な文法書ということになる。
この刊行を喜んだベルベル人の統一団体
「21世紀リーフ・アマズィク協会」会長ヤーシン・ラフムーニ氏が、
ベルベル語とアラビア語で序文を書いてくださった。
石原さんはこの本を外国語に翻訳し、
辞書をつくる構想もお持ちだ。
ところで、
石原さんによれば、
ベルベル人と日本人ではいろいろな点で似ているという。
たとえば、
赤ん坊に蒙古斑があるとか、
来客者に何も聞かずに茶をふるまうとか。
驚くのは、
ベルベル人の伝統民謡の調べが日本の民謡に似ているらしいこと。
津軽民謡や木曾節を現地の人に聞かせたところ、
「これは我々の祖先の音楽だ」と言ったという。
今回の出版にあたり、
ベルベルの音声と音楽を収めたCDも別売で付けた。
が、
粗忽にもわたしは未聴である。アッチャ~!!
似ている「らしい」と言ったのはそういうわけで、
さっそく聴いてみます。
『東北を聴く――民謡の原点を訪ねて』(岩波新書)
の著者・佐々木幹郎さんにもお知らせしなければ!

・瑞々し浴びて嬉しい五月かな  野衾