適材適所

 

・紙袋に本いっぱいの五月かな

先だっての朝、
みんなのいる場所で、
適材適所について話をしました。
人のことにかぎったことでなく、
モノも、
そのときどきのことばもと。
会社の現状と先々を考え、
いま会社にとって大事だと思うから言ったのですが、
そのとき、
ひとつの詩がわたしの胸中にひびいていました。
今年二月にお亡くなりになった
まど・みちおさんの「リンゴ」という詩です。

リンゴを ひとつ
ここに おくと

リンゴの
この 大きさは
この リンゴだけで
いっぱいだ

……………

三連四連とつづく第四連に、
「あることと/ないことが/まぶしいように/ぴったりだ」
とあります。
あることとないことがまぶしいようにぴったり。
ここがとても好きです。
「場」ということばも下りてきました。
いま『西田哲学から聖霊神学へ』のゲラを読んでいます。
すべてが、すべては、ぴったりあっている。
出会いも別れもまた出会いも。
そんなことを考えての適材適所でした。
ひとも、モノも、ことばもひびき、ひびきあう。
きょうから五月。

・音なくて上からしずく慈雨ていふ  野衾