割れ鐘

 

・Tシャツは未だ早かれど腕をだす

除夜の鐘の鐘ですが、
この体、

まるで鐘みたいと思うことしばしば。
言葉が響き。
サイレンの音ならサイレン、
クラクションの音ならクラクション、
カラスの声だって。
日によって
それほど振幅はないのに、
ことひとの話す言葉となると、
そんなわけにはゆかず、
染みてきたり、
ぽんと落ちてきたり、
逆撫でされたり
刺さったり。
静かに
響き具合をたしかめていると、
やがて意味は消え、
ただ澄んだいい音があるだけのときもある。
かと思えば、
ああ、
これは鐘が割れて
罅が入っている音だな、
と。
割れ鐘。
縦に。
罅の縁を震わす闇の音。
オ~マ~エ~ワ~、
エロイムエッサイム、
ドガンドガン
ドガン、
バジャバジャバジャバジャ、
ウンッドガン、
ピシャッ、
破れかぶれの感情に
溺れてしまいそうなときがあり、
もてあまし気味の
そんなときは、
目をつむってじっとし、
波が行過ぎるのを待ちます。

・我も生人も生なり緑さす  野衾