再会!中条先生

 

・新緑や振り返り見る仰ぎ見る

新入社員のY本くんをつれ学習院大学へ。
フランス文学ご専門の中条先生と、ある打ち合わせのために。
Y本くんは大学院時代に、
母校の大学で中条先生の講演があることを知り、
京都からわざわざ母校の地まで
訪ねて行った。
講演後、
Y本くんは中条先生のもとへ行き、
名を名乗り素性を話した。
ら、
中条先生、
Y本くんに名刺をくださり、
東京に出てくるようなことがあったら、
遠慮なく訪ねていらっしゃいとおっしゃった。
時がたち。
縁あって、
中条先生の本を出している春風社に入社。
願いかなって
先生に再会することとあいなった。
のだが。
前日、
あまりの緊張のため、
よく眠れなかったらしく、
いつも出勤時刻の早いY本くんなのに、
きのうはめずらしく遅刻、ほんの少々ながら。
おや?と思っていたらY本くん、
「社長!」
「ん?」
「社長! あのう。あのう。ちょっと、財布を忘れました…」
「は!?」
「はい。財布を忘れました」
「なんで? どしたの?」
「緊張して…」
「あはははは…」
Y本くんにとって中条先生の存在は相当のようで。
さて、
再会かなってホッとしたのか、
Y本くん、
帰りの電車の中ではナマコのように眠っておりました。
乗り換えのため横浜駅で降りたとき、
「疲れたみたいね?」
「いえ。そんなことはありません!」
「だって眠っていたじゃない」
「いえ。そんなことはありません!」
「毎日が新しいから、疲れるでしょう?」
「いえ。そんなことはありません!」
こころよきY本くんなのでした。

・二人来て学習院の若葉かな  野衾