・彗星の尻尾の如く賀状来る

意識から
すっかり遠のいているようでいながら、
ひょいと夢にあらわれ、
眼が覚めて
ドキドキしたり
シュンとしたり
ジーンときたりすることがあります。
今朝がそうでした。
初夢とはちがいます。
あの頃。
家に帰れず、
家に帰らず、
カプセルホテル住いの日々。
服もネクタイも会社に置いていた。
靴下や果ては下着まで。
自分が
どこを歩いているのか
なにに向い、
どっちへ歩いているのか、
さっぱり分からなかった、
というのはウソで、
よく分かっていた。
雪が解けるように、
それが
やがて終ることも。
そんな生活に別れを告げ、
新しい生活が始まりました。
汚れた雪の下から
土が顔を出し、
バッケが淡い緑色を見せるように。
が、
今朝
不意に、
新雪に足を踏み入れるがごとく、
その当時を
彷彿させる夢に
汚魂の甘い味わいとともに
遭遇し、
暗いなか、
眼を瞬かせていました。

・新雪や吾の濁りを流し去れ  野衾