足業の父

 

・桜木町カップル集ふクリスマス

休日、
ぎりぎり電車に乗り込んだときのこと、
ホッとし回れ右するや、
さらに数歩後に
一人の男と一人の子どもが滑り込んだ。
と、
ドアの外に小さな男児が残された。
ド、ドアが閉まるっ、
と思いきや、
ん!?
ん!?
なんで!?
ドアが閉まらない!
見れば、
男が左ひざの下を折り曲げドアに挟んでいる。
自分が電車に滑り込んだあと、
間髪入れずにそうしたものと思われる。
見事!
天晴れ!
子を思う父の愛!
足業が功を奏し、
ドアが開けられ、
男児は無事に救出、
いや、
電車に乗り込んだ。
「電車に駆け込まないでください!」
思いっきりアナウンスされていた。
アハハハハ…。
が、
足業の父、
まったく動ぜず。
いや天晴れぱれ。

・悲恋ありホテル予約をキャンセルす  野衾