下手なりに

 

・身が縮むナンバーワンの寒さかな

年賀状書きの季節がやってきました。
宛名も裏の短文も、
下手なりに自分の字で、
つまり直筆で書いています。
下手だなぁ、
つい
つぶやきが洩れ出ます。
いろいろ試します。
たとえば。
詩人の長田弘さんの場合、
「弘」の弓とムがすごく離れており、
なんだかかわいく、
ゆったりのびのびしていて美しい。
ので、
三浦の「浦」のさんずいと甫を
思いっきり離してみるも、
それほどかわいくなく、
美しくもない。
はたまた、
ドイツ文学者でエッセイストの池内紀さんの字は、
これまたすこぶるかわいい。
「へ」の字がほぼ「一」に近い。
今は慣れたので、
すぐに「へ」とわかる。
真似したくて、
自分の文章にも「へ」を使おうとするも、
なかなか「へ」を使う場面に出くわさない。
ん~。
長田さんの字も、
池内さんの字も、
お人柄、
文章と相まってのものであり、
真似して真似できるものでない。
とほほなのであります。
下手なりに謙虚に、
思い切って
大胆に書くしかありません。

・停留所にナマ脚居たり十二月  野衾