・師走にて老いも若きも寂しかり

ホームページのヘッダーの写真を
冬バージョンに換えるため、
写真家の橋本照嵩さん来社。
パソコンに取り込む作業が終ったあと、
順に眺めていきます。
冬バージョンなので、
雪の写真がほどよく入っており、
つい見入ってしまいます。
何年前でしょうか。
十数年前でしょうか。
ひょっとしたらもっとまえ。
年の暮れか、
正月明けてから
ひとりで雪の秋田に帰ったことがありました。
秋田駅でローカル線に乗り換えましたが、
雪がますます激しくなり、
音もなく白く降り積もっていきます。
その情景を見ながら、
なにかが剥がれていくようでした。
身に付けたもろもろも、
価値も無価値も、
言葉さえ。
泉としての体験。
生きている間の。
意味は何度も書き換えられ。
雪はただ、
しんしんと降り積もっていきます。
本を読むこと、
仕事をすること、
友と語ること。
恋すること。
暮らし。
旅にでたり
山に登ることも、
付け加えるのではなく、
剥がれ、
吟味され、
めくられる体験として。
音はなく、
雪は物知らぬ童心へと導きます、
いのちだけの。

・鍋睨みそれは俺のの忘年会  野衾