うれしいメール

 

・うれしさやシルクロードを経て来り

このところのマイブーム、
傑作インド映画『きっと、うまくいく』ですが、
なんと、
この映画に惚れ、
この映画の日本公開を実現させ、
DVDの販売を担っているご本人から
直接メールをいただきました。
掲載の了解を得ましたので、
メールの全文を下に転載いたします。
一つのことが実現するのに、
いかに多くの人の愛が注がれ織り込まれ、
それが下支えとなっているかを
まざまざと知らされました。

・冬なれど人生きつとうまくいく  野衾

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『きっと、うまくいく』の DVD/BD を扱っております、ハピネットの藤岡と申します。

実は私、本作の買い付けから携わっております。2010年に「したまちコメディ映画祭」でこの作品を見てから、何とか日本で公開出来ないか、色々と模索しておりましたが、3時間のインド映画、というハードルは本当に高く、正直、本当に大変な道のりでした。

そんな中、㈱日活の取締役である、元の上司に相談したところ、作品を買い付けていただけることになり、今回は、2社共同で展開をしております。そのような経緯ですので、今回のビデオグラム化に際しましては、とにかく出来ることは出来るだけやろうとの思いで取り組んでおります。

三浦様にはこの作品を劇場公開時から度々ブログに取り上げていただき、本当に感謝しております。 先日の横浜でのマサラ上映にいらしていたとの記事を読んだ時には、私もその場におりましたので、知っていたらご挨拶差し上げたのに、と思った程です。

今日は一つご案内があり、メールさせていただきました。

昨日、『きっと~』が発売/レンタル開始となりましたが、今回初めて、ビデオレンタル店の「TSUTAYA馬事公苑」の一店舗のみで、限定の、例外的な店頭展開をしていただいています。

馬事公苑店様は、お店として本当に良い作品を薦めて行きたい、という希望を持たれており、お店の本来の方向性に合うということで、お金のやり取りなしに実現した企画です。

これは弊社のビジネスにとっても大きな問題ですが、現在映像レンタルの市況は右肩下がりで下げ止まらない状況です。
セル商品に至っては、もっと厳しい現実に直面しております。

馬事公苑店の店長様も、インターネットが普及する状況下、再度店舗の価値を示す手段を模索しながら、本当にいい商品を、その価値を感じた人が想いを込めてお勧めする、それこそ現場の最大の価値ではないかと感じておられたそうです。

そういう背景ですので、お店でもきちんと作品をご覧になり、その上で展開を決めてくださいました。そこは作品を冷静にご判断いただいた上での展開ですので、弊社としては「ボリウッド4」で一緒に扱った『タイガー』も取り組みに入れたかったところですが、『きっと~』のみの展開となっています。

私自身もインターネットの便利さは享受していますが、その反面、顔の見えない相手が発信する情報に戸惑うことも多くありました。そんな中、人から人へ伝え、手から手に渡す、この作品はそういう形がふさわしいと思っていたところ、様々な偶然もあり、お店との展開が実現できました。

どれだけ頑張って伝えようとしても、こちらの力にも限界があり、特にこの作品の場合、強姦に言及するスピーチに過剰反応された方がいたり、話がうま過ぎると批判する方もあったり、本当に自分の力不足を実感させられることばかりでした。

強姦のスピーチは、単なる発音の相似というだけで、字幕を読んで日本人が感じる感覚と、ヒンディー語を聞いて笑う観客とは全く印象が変わります。加えて最近、インドでのレイプ事件が度々報じられたこともあり、過剰に受け止められた方のお気持ちも分かりますが、インド人は強姦を笑いの種にしている、だからこんな事件が起きる、というようなご意見を見た時には、本当にインドの方たちに申し訳ない気持ちでいっぱいになりました。

インドの多くの人々にとって、カースト制が根深い社会を生きることは様々な抑圧にさらされることでもあり、そういう厳しい現実を生きる人たちにとって、ボリウッドの作る、ある種の夢物語が生きる希望となっている、というようなことも、本当はもっと丁寧に伝えるべきだったと反省しております。

そのような反省を踏まえ、DVDでは特にブックレットを重視し、作品の背景だけでなく、インドの社会というものや、主役のアーミルの人物像など、出来るだけ深く踏み込んだつもりです。

ただブックレットでも伝え切れない部分、言えないこともあり、伝える側として、とにかくできることは最後まで自分で責任を持ってやる、そういう姿勢が大切ではないか、と思い、思っているだけでは仕方がないので、とにかく当って砕けろの精神で、お店の展開まで漕ぎつけました。

お店の方も本当に協力的で、私が地元なのを良いことに夜中しつこく押しかけても、イヤな顔一つせず、いつもにこやかに、辛抱強く話を聞いて下さり、誠意を持って対応して下さって、そのお陰で何とか形になったと思っています。

昨日、レンタルの売り場が完成しましたので写真をいただきました。
添付させていただきます。

私の地元ですのでいらっしゃるのはご無理かと思いますが、馬事公苑はこの季節の散策にピッタリな、自然豊かなのんびり出来る場所なので、もしも週末にお時間があるようでしたら、是非お出かけください。

お出かけされるのが無理でも、もしご近所にお住まいの方などご存知でしたら、是非ご紹介下さいませ。

この店舗のみのフリーペーパーも作らせていただきましたし、また、皆さんにメッセージを書いていただくノートも置きました。売り場の一番良い場所で、棚のスペースを 4段も潰して置いてくださったノートですので、もしもお寄りになられることがありましたら、是非、一言書いていただけましたら幸いです。

フリーペーパーにお寄せいただいたお店からのコメントは以下の通りです。

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「本当に良い映画をお客様にお届けしたい!」という想いで店の原点に戻りこの作品をお薦めさせていただきました。

店の理想は映画を実際に見て良いと思った映画をお客様にお伝えするものだと思っています。今回はそれを具現化しました。

この作品を見て良いと感じた方が実際にコメントを作り売場を作っています。

間違いなく良い映画です。是非お客様にそれを感じ取って頂ければ幸いです。

TSUTAYA馬事公苑店 店長

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最寄駅は、小田急線の千歳船橋、又は経堂、田園都市線の用賀からバスで農大前下車、という手段もあります。

初めてのご連絡ですのに長文のメールで失礼いたしました。
ブログを読むうちに親近感を感じてしまい、長くなってしまいました。

色々なことがありましたが、個人的には中学1年生の娘が、お母さん、この映画を日本で公開してくれてありがとう、と言ってくれたことだけで、報われたと思っています。

この作品を応援していただいたこと、本当に感謝しております。
ツイッターとブログを読ませていただくだけで、私も本当に力をいただきました。

ありがとうございました。

株式会社ハピネット
映像企画部 企画2チーム
藤岡美和子

 

ARTPOP

 

・十二月忙中閑と爪を切る

さて、きょうは今をときめく
レディー・ガガの新譜『ARTPOP』について。
しばらく前に買っといて
すぐに聴かず、
意味もなく
寝かせておいていましたが、
きのう初めて通しで聴いたところ、
これが
なんとも
耳に優しく心地いい。
さすがレディー・ガガ。
これからはハリウッドでなくボリウッド、
なんて
インド映画を
絶賛していたりもしているわけで、
そんなことからも、
さすがレディー・ガガ。
わたしのなかのレディー・ガガ度急上昇!
トランス好きのわたしとしては、
今回のこのアルバム
まったく違和感なし、
どころか
初めて聴く気がしない。
ときどきデヴィッド・ボウイまで彷彿させ。
ということで、
ヘビーローテーション間違いなし!

・冬なれば乾燥肌の痒さかな  野衾

むふふふふ

 

・うとうとと車中仮眠の冬日かな

ついに発売!
こんなに待ったのは、
学生時代、
好きだったスティーヴィー・ワンダーの
新譜発売を待った日々以来でしょう。
原題:3 idiots
日本語タイトル:きっと、うまくいく
DVDがようやく発売され、
きのうさっそく
アマゾンから送られてきました。
しかも、
予約したときの価格から値下がりしたので、
360円を引いてとのメールが届き、
アマゾンなかなかやりおると、
それはそれで感動した次第。
りなちゃ~ん、
ひかりちゃ~ん、
これでいつでも観れるぞ~!!
これまで10回を超えて観た映画は、
傑作アニメ『銀河鉄道の夜』と
フェデリコ・フェリーニ監督の『道』でしたが、
ふたつの記録を
楽々飛び越えること間違いなし。
だって、
映画館ですでに五回も観ているから。
何度観ても、
いいものはいい!
学習院大学でフランス文学を専攻しておられる
中条先生に教えたところ、
先生も嵌ったらしく、
雑誌に映画評まで書いたといいますから
驚きました。
この年末年始、
何度観ることになるでしょう。
急にパ~ッと薔薇が咲いたような、
フローラルブーケの香りが漂ってきそうな、
そんな感じ、
そんな気分なんでございます。

・用足して熱を奪われ震ひをり  野衾

夢に幹郎さん

 

・三日にてワンツースリーの師走かな

夢に詩人の
佐々木幹郎さんが登場しました。
あ。幹郎さん。
もうイベントは始まっているのに、
幹郎さん、
ぜんぜん慌てる様子がありません。
階段の
途中カーブする
立派な手すりに跨り、
すべって遊んだりしています。
近づいて、幹郎さん!
いいのいいの。
いいのいいのって。
幹郎さん、
だんだん若くなっていくようです。
スリムにもなって。
メルモか。
と、
幹郎さん、
緑色の分厚い一冊の本に入り、
大きく息を吸ったり吐いたりしています。
そのたびに、
本がぶわーっと膨れたり、
身を細めたフクロウみたいになったりし、
なんだかとっても楽しそう!
なんだかとっても嬉しそう!
ときどきちょっぴり寂しそう。
その本はもともと
デーヴァナーガリーで書かれた
『ラーマーヤナ』で、
わたしは
その字を読めないけれど、
そんなふうに遊べるなら、
一冊なんとか欲しいものだと思い、
その辺にいるインド人に聞いたら、
とっても高価なもので
日本円で一冊百万円もするという。
それを持つことは
一家にとって
代々家宝になるという代物。
そこまで言われたら
なにがなんでもぜったいに欲しい!
口角泡をふき、
値段の交渉をつづけているうちに、
ラーマーヤナの幹郎さんの姿が見えず。
本になったまま
イベント会場に行ったかな。

・月替り刻々迫る賀状書き  野衾

ジョセフ・クーデルカ展

 

・カレンダー剥ぎて息吐く師走かな

あんたがそうくるんだったら、
おれはクーデルカ、
こう出るか、
なんてことを口の端にのぼせつつ。
竹橋の東京国立近代美術館へ。
ジョセフ・クーデルカは、
チェコスロバキア出身の写真家。
一九三八年生まれ。
知らない写真家でしたが、
新聞に出ていた馬と男の写真を見、
一発でやられました。
この人にかぎらず、
すぐれた写真家の写真を見、
もたげてくるのは、
猛烈な嫉妬のこころ。
国がちがい
時代がちがっているからといって、
酸っぱい葡萄で済ませるわけにはゆかぬ。
なぜそう撮るのか、
なぜあなたにはそう見えたか、
そこが気になり始めると、
見ないわけにはゆきません。
わたしの数メートル前を、
白地に赤い模様の入ったワンピースの女性が居、
わたしが、
一枚の写真からつぎの写真へ移るや、
彼女も数枚先からさらにつぎへと移動し、
それがほぼ平行移動で、
追い越すわけにもゆかず、
その女性が
これらの写真をどう見ているかも
気になり始め…。
それもこれも体験で、
生きられる時間で、
これから
この写真家の写真を
何度も見ることになるでしょう。
見て好きになるでしょう。
たとえば下の写真はすぐに、
ポーランドの演出家イェジュイ・グロトフスキの、
『実験演劇論―持たざる演劇めざして』
を連想させ、
またある一枚は、
妖しきドアーズの
「Strange Days」を連想させたのでした。
五感を超え、
時間を感覚するまであと一歩、
すばらしい写真展でした。

・音なくて実の音在り冬日かな  野衾