・言の葉の色を増したり秋の暮れ
朝起きて歯をみがき、
パソコンに向かってこれを書いたら、
コーヒーを淹れます。
このごろは
挽いた豆の皮を飛ばす技をおぼえ、
またその技に
みがきがかかり、
一杯のコーヒーが
ますます甘く
美味しく感じられます。
アルコールランプで熱せられたお湯が
フラスコからゆっくりと上昇し、
上がりきる前に
竹べらで左に二回、
すべてロートに上がったら
右に五回まわし待つこと七十秒、
アルコールランプを外して炎に蓋をします。
コーヒーがゆっくり下降しはじめ、
たちっ、たちっ、たちっ。
フラスコ内の透明な
コーヒーの面が安定したら、
あたためておいたコーヒーカップにコーヒーを注ぎ、
まず一口。
もう一口。
ああ。
至福の時間。
朝日はまだ昇ってきません。
*
写真は、まるちゃん提供。
・我もまた此の道を行く紅葉かな 野衾