小便小僧

 

・来て停まり来て停まりする枯葉かな

JR桜木町駅で下車し、
下りエスカレーターにて地上へ。
駅のトイレに向かいます。
急に寒くなったせいか、
このごろとみにトイレが近い。
男子トイレのマークを見、
右へ。
桜木町駅でトイレはそこしかなく、
通勤客でいつも混雑しています。
と、
五歳、
いや四歳ぐらいの少年が、
ズボンとパンツを
(今どきはズボンのことをパンツという
ことぐらいは知っています。
が、
「パンツとパンツ」では何のことやら分からないし、
「パンツとサルマタ」では
一方が平成、他方が江戸みたいで余計におかしい。
だから「ズボンとパンツ」)
膝の辺りまでもろに下げ、
チ●コ丸出しでうろうろしています。
便器が一台も空いていません。
想像するに、
少年、よっぽど我慢できなかったらしく、
勢いよくズボンとパンツを下ろしたのはいいが、
便器が空いてないでは
したくてもできない。
できないできないできないよー!
チ●コ丸出しのままうろうろうろうろ。
そうこうしているうちに、
大便のほうへ向かった友だちでしょうか、
もう一人の少年がやってきて、
チ●コ少年に、
「内田さんに少し遅くなるって言っといて」
内田さんて誰?
先生?
それともいっしょに来ている友だちの女の子?
はたまたいずれかの親?
親を「さん」付けでは呼ばないか?
そんなことはどうでもよく。
チ●コ少年、
友だちの言葉が耳に入ったか入らなかったか、
あるいは
もはや洩れそうで
それどころでなかったか、
ただチ●コ丸出しのままうろうろうろうろ。
友だち、
さらに大きな声で
「内田さんに少し遅くなるって言っといてえ!」
と繰り返し、
チ●コ少年の返事を待たずに、
大便コーナーへ戻っていった。
ようやく便器が空き、
チ●コ少年、
チ●コを両手でつまみ、
ちょこちょこちょこちょこちょこちょこちょ
虫が急ぐように便器へまっしぐら。
あわや! と思いきや、
なんとか間に合った!
よかったぁ!
全身弓なりにし、しゃーっと。
まさに、まさしく小便小僧。
ふ~。
間に合ってよかったね。

・無言にて、な、そうだよなの薄かな  野衾