旧暦のある暮らし

 

・草の色吸ふて蟷螂斧を挙ぐ

『日本の七十二候を楽しむ 旧暦のある暮らし』(東邦出版)
という静かで楽しげな本を買いました。
文:白井明大(しらい あけひろ)さん。
絵:有賀一広(あるが かずひろ)さん。
四季があることはだれでも知っています。
が、
一つの季が六等分され、
掛ける四でイコール二十四。
二十四節気があることは、
四季ほどには知られていません。
わたしの場合、
俳句に興味を持ち、
自作をひねるようになって知りました。
さらに七十二候。
この本で初めて知りました。
一年は三六五日。
うるう年なら三百六十六日。
三六五を七十二で割ると、5.06944。
ほぼ五日ごとに新しい季節が廻ってくることになります。
ワクワクします。
日本人は、
皆、そうして暮らしていたのですね。
この本の「あとがき」に、
こんなふうに書かれてありました。
「……原子力発電所の事故は、あまりにも愚かしく、
これから生まれてくる未来の人たちに
取り返しのつかないほどの負の遺産を残す過ちとなりました。
それでも、私たちはここからまた生きていかねばなりません。
そう心するとき、
昔ながらの暮らしに教わることがたくさんあります。」
静かで楽しげな本にこめられた深い怒りを感じます。
悲しみといっていいかもしれません。
自然に感謝し
喜びを味わい
うまずたゆまず
暮らすことがいかに大事か教えられます。

・夏バテか医院待ち合い混雑す  野衾