・鬼灯を少女の母は鳴らしたり

『ファーブル昆虫記』を読んでいるせいか、
いや、
そんなこともないとは思いますが、
歩いていると
よく虫に出くわす。
このごろは蝉。
羽一枚だけ
道路からにょっきり生えでもするかのように
上を向き、
ふるふると動いてい、
なんだこれ
と思って近づいて見れば、
蟻が一生懸命に運んでいる図でした。
自分の体の何十倍もありそうな蝉の羽を
巣まで運ぶつもりなのでしょうか。
羽がついていた胴体は見つからず。
何メートル何十メートル運んできたのか。
全くおそるべし蟻、です。
それはともかく、
生を終えた蝉の死骸を一日に何匹も目にする。
その度に
そっと手に取り、
辺りを見回し
よさげな蝉の墓場を見つけ
静かに葬り掌を合わせるのですが、
ときどき、
つまんだ瞬間
ばたばたと羽を動かすものもいて、
だいじょうぶだよと言ってみる。
なにがだいじょうぶ?
賢治なら、
怖がらなくてもいいと言うか。
さて今日から七巻目。

・八月もあと三日の命なり  野衾