こしらえもの

 

・炎天下鎌倉小町いらつしゃい

図書新聞に拙著『マハーヴァギナまたは巫山の夢』の
書評が掲載されました。
コチラです。
これで四紙誌に取り上げられたことになりますが、
とても勉強になりました。
ありがたいことです。
一九九二年に始まった
創作学校の一期生として門を叩いて以来、
小説とは何か、
表現とは何かをずっと考え、
安原顯さんへのご恩に報いるためにもと願い書いたものが、
このように専門の方々から
ありがたいコメントをいただき嬉しく思います。
小説はいわば「こしらえもの」。
しかし、
「こしらえもの」によってしか
伝わらないものもあります。
今度の震災は、
そのことをも気づかせてくれました。
拙著はともかく、
「こしらえもの」の詩と美と力に触れ生かされる、
それが古典といっていいでしょう。
その意味で、
源氏物語と泉鏡花は、
わたしにとって大きな発見でした。
「表現行為とは時に、
それに触れるや発狂するやもしれぬ猛毒である」とは、
恩師・安原顯さんの名言ですが、
猛毒はまた
処方のされかた次第で良薬にもなり得ます。
この世の欺瞞と偽善を剥がし
打破するのは、
いつの世も、
真実がこもった古典に如くものはない気がします。

・女連れ俄か写真家徘徊す  野衾