眠りになじむ

 

・六月を生きて感じて眠りかな

興奮しすぎると、
子どもでなくても、
夜中に眼が覚め、
前日あったことが脳裏を駆け巡ります。
何度も何度も…。
なにかあたらしい考えが浮かぶのではありません。
ただ繰り返し繰り返し、
印象深いシーンが思い出されます。
きのうは、
十文字学園女子大学のわたしの講座に、
詩人の佐々木幹郎さんをお迎えし、
「詩と人生 いつ詩はできるか? 触れることをめぐって」
をテーマにお話いただきました。
素晴らしかった!
朗読。
詩人の詩の朗読の凄さ。
むかし東洋一の刑務所といわれた豊多摩監獄、
その解体の様子を佐々木さんがフィルムに収めた動画上映。
詩集『音みな光り』より
「音も無く」の詩の朗読。
東日本大震災。
エッセイ集『瓦礫の下から唄が聴こえる』より
「声たち(大船渡市・下船渡)」の詩の朗読。
未来からの記憶として
これから何度も何度も思い出すでしょう。
夜中に眼が覚め、
シーンが繰り返された後、
気づけば、
朝になっていました。
眠ったのだなと…。
あのとき、
繰り返されるシーンになじみ、
眠りになじみして、
たゆたい、
そうして眠ってしまったのでしょう。
朝を迎え、
まず
窓を開けます。
風が入ってきました。

・ことばもてことばの無きを目指すなり  野衾