・新緑を眺め電車の夢うつつ

このごろ手足の爪の伸びが速い。
ひょいと見ると、
なんだ、
つい先だって切ったのに、
もうこんなに伸びたのか。
やれやれ。
それほど時を置かずしてまた見ると、
伸びている。
また爪を切る。
切った爪の屑が
あらぬ方向に飛んでいったりして、
そうなればメガネを外し、
床に這いつくばるようにして探してみたり。
やっと見つけてゴミ箱に捨て、
ふと考えた。
爪の伸びが速まるはずはないのではないか。
鼻の成長は死ぬまで続くというが。
そういえば、
年取った人の鼻はデカイ!
それはともかく、
爪は
成長を速めたのではなく、
爪の成長が速まったと感じる
わたしの観念が問題なのでしょう。
五月も、
今日を入れてあと三日。

・千年の直立棘あり黄蜀葵  野衾