ワニは偽善者?

 

・窓近くコーヒーの木も若葉かな

crocodileに「偽善者」の意味があるとは
知りませんでした。
サミュエル・ジョンソンの『英語辞典』
に関する研究書の原稿を読んでいたら、
そのことに触れられており、
驚きました。
辞書で調べたら、
ちゃんと出ていましたから、
わたしが知らなかっただけかも知りません。
crocodile tears といえば、
偽善の涙、
そら涙の意味だそうです。
ワニはえさを食べながら涙を流す
という言い伝えからだとか。
どうしてそのことに目が行ったかといえば、
拙著『マハーヴァギナまたは巫山の夢』のなかに
ワニがでてくるからです。
ワニにそんな意味があるとは知らずに
登場させましたが、
小説の初めのほうで、
三平が玖美に平手打ちを喰わされる場面があり、
そのことを、
玖美が「偽善的行為を極度に嫌う」
と読んでくださった評者もいましたから、
また、
そう読むことはワニ(スミマセン!)
でなく「あり」なわけですので、
だとすると、
ワニの登場には
別の意味が付与され、
書き手にとって
思いもよらなかった景がひらかれもし、
おもしろいものだなぁと思った次第です。

・蟻の巣の働き蟻のうろたへり  野衾