生きること選ぶこと

 

・雪かきの機械の音を聴いてをり

唐突ですが、
朝起きてから夜寝るまで、
小さなことから大きなことまで、
一日のうち
人はいくつ選択しているでしょうか。
朝起きてから
と言いましたが、
朝、
眼が覚めたとき、
どのタイミングで起きるか
ということから、
すでに選択は始まっています。
考えてみれば、
生きることは選ぶことの連続です。
選ぶことに関して、
美しいシーナ・アイエンガーさんの
『選択の科学』(文藝春秋)という
おもしろい本がありますが、
もう一冊、
美しい丸岡永乃さんの
『アンヘリカの選択』があります。
こちらは春風社刊のすてきで美しい絵本。
不断におこなっている選択により、
人は美しく勁くなれることを、
この絵本は静かに、
絵本ですからことばもありますが、
絵とことばをとおして、
それを支える美しい世界を
やさしく指し示してくれます。
年が明けた今月三日、
神奈川新聞に紹介記事が掲載されました。
コチラです。
書いてくださったのは、
自転車記者・佐藤将人さん。
すてきな文章にまとめてくださいました。

・駅伝をテレビの前の四人かな  野衾

源氏富士

 

・雪よりも白きさざなみ輝けり

昨年から源氏物語がマイブームですが、
この物語、
山で言うなら富士山みたいなものかなとも思います。
原文で読むのは大変ですが、
与謝野訳からはじめていろんな訳が出ていますし、
マンガもあるくらいですから、
話の筋が分かった上でかかれば、
けして読めないことはありません。
いま読んでいるのは、
橋本治『窯変源氏物語』
窯変は、ようへんと読みます。
カマのなかで焼かれて現代風の焼き物となった、
ぐらいの意、こころでしょうか。
光源氏が一人称で延々心理描写を行い、
かったるいところ、
キザなところもありますが、
なにせ傀儡みたいに思ってきた主人公の光源氏に、
ようやくいのちが吹き込まれた観があり、
プルーストの後では尚のこと、
面白く読んでいます。
これが終ったら、
三度目の原文にあたり、
あとはしばらく離れるつもり。
源氏物語を読むことは、
けっきょく日本人としての自分、
自己の古層を読むこととイコールのようです。
千年間、
そうして読み継がれてきたのでしょう。

・初詣いちばんエラソは社長かな?  野衾

年賀状はたのし

 

・裏返し思はぬ人の賀状かな

きのうは初仕事。
仕事を終えてからの新年会もたのしみですが、
いちばんは、
届いた年賀状を読むことです。
一行から数行の
手書きのことばを読むたびに、
いろいろ感じ
考えさせられ、
また想像し、
ご縁のありがたさを噛みしめます。
賀状を書かないというのも一つの選択ですが、
書いてよかったと思います。
お年玉番号の当選も
気になるところですし。
午後は恒例、
伊勢山皇大神宮にそろって初詣。
お祓いをしてもらい、
おふだをもらって帰ります。
行きはよいよい、帰りもよい。
さて新年会。
刺身、お惣菜を野毛で仕入れ、
木のテーブルにずらり並べて皆で乾杯。
一年の奮闘を誓い合います。
さてつぎは、
飲み食いしながら年末年始の報告会。
神社めぐりの寺地くん。
仏閣めぐりの岡田くん。
二人の話しぶりを見ているうちに、
神社派と仏閣派を
代表しているように見えてくるから不思議。
ほかの皆も、
それぞれの正月をたのしんだよう。
というわけで、
今日がほんとの仕事始めです。

・テーブルを囲みて交はす新年会  野衾

2013年をおもしろく

 

・テレビ消し青き夜半に年来る

二〇一三年が明けました。
今年は秋田でゆっくり、
のんびりと過ごしました。
近くにある温泉の湯につかったり。
箱根駅伝、
見てしまいますねやはり。
横浜に比べると、
秋田は寒い。超寒い。
水道の水が冷たさを超えて痛い。
布団には電気毛布。
昔は湯たんぽや行火をつかっていましたが、
いつのころからか、
電気毛布に進化(?)しました。
これが超気持ちいい!
ふわっふわの羽毛のつまった穴に入っていくよう。
首から上だけ外に出していると、
頭がきんきん冴えてきます。
秋田の子どもたちが成績優秀なのはこのせいかと家人。
んー、かもしれない。
違うかもしれない。
わかりません。
父の漬けたハタハタ鮨が旨かった。
日本酒が幾種類も置いてあり、
猪口を差しつ差されつ。
父は何も言わず。
わたしも言いません。
とくに大げさなことはなく、
家族の時間が濃くなく、
また薄くもなく過ぎていきます。
こころに色をのこして。
今日からは仕事。
量を抑え
付加価値の高い仕事をしたいと思います、
おもしろさを忘れずに。
本年もよろしくお願い申し上げます。

・念仏の母の声する明けの春  野衾