省の字

 

・急かぬのに急くこころして師走かな

この日記は、
タイトルのとおり前日を振り返り、
あれこれあったなかから
面白かったり、
腹を抱えて笑ったりしたことを
掬い取るようにして記すもろもろで、
いわば反省の日記
であるということもできます。
反省の記だなと改めて思い、
さて、
反省の省の字って、
もともとどういう字であるか、
気になりだしました。
気になったら辞書を引け。
はい。
白川静の『字統』に
面白いことが書かれていました。
どうもこの省という字、
もともと眉という字に関係が深いようなのです。
「おそらくはもと眉の上に加えた呪飾であろう」と。
呪飾というのは、
刺青(いれずみ)みたいなものでしょうか。
刺青でなく、化粧かもしれません。
『字統』ではまた、
「外地に赴くとき、眉飾を加えてその呪力を示すこと」は、
日本の古代においてもあったとしています。
さらに、
「外に対して示される呪力が、
本来はその内部にある力能のあらわれであるということから、
省心・省悟の意となり、徳性への自覚となる。」
省の字は、
訓読みすると「かえりみる」ですが、
「みる」「さとる」とも読めます。
さとらなくてもいいですが、
朝のこの時間の行いが
けして悪くなく
意味のあることだと思えてきて、
うれしくなりました。

・ふりかへり後ろ歩きの師走かな  野衾