車内放送

 

・目覚めてはおお寒(さぶ)!まずは温度計

家と会社の行き帰り、
電車の中でファーブルの『昆虫記』を読んでいます。
ファーブルは本当に昆虫が好きだったらしく、
ていねいにまた丹念に観察を続けます。
記述もその分、
微に入り細を穿っています。
そのとき、
割れんばかりの声が電車内に響き渡ります。
次はなんの駅、
どちら様も忘れ物に注意しろ、
次の駅が終点だ、
次の駅が終点なので、
どちら様も降りるんですよ、
ドアは右側でなく左側が開きますよ、
全員降りたら、
いったんドアを閉めますから
車内に残っていてはいけませんよ、
などなど、
もう五月蝿いったらありゃしない。
まさに、
ぶんぶん飛び交う蝿か蚊のごとく。
数分遅れただけで、
車内でもホームでも、
言い訳のように、
これこれの理由で
電車が遅れて申し訳ございませんと繰り返します。
ルールに従ってのことだとは思いますが、
また、
ほんの少しのことでも
文句を言う客がいて、
それへの対応からかもしれませんが、
少しきちがいじみています。
なんとかならないものでしょうか。

・故郷ではそろそろ雪かと空眺む  野衾