衣紋掛け

 

・足下へごろり仰向けアブラゼミ

朝、
以前はほぼ毎日、
このごろはたまに、
禅智内供の鼻を彷彿とさせる男とすれ違います。
顔の中央にどかんと鎮座ましましている。
揺るぎもない。
だけでなく、
肩が妙に張っていて、
まっすぐの棒でも入っているかのよう。
そして、
少し斜めに、
ゆっくりゆっくり歩いてくる。
サンダル履き。
あ。衣紋掛けだ、と、
わたしはこころのなかでつぶやく。
いっさい面白そうでない。
仮に声をかけでもしたら、
ゾマーさんよろしく、
ほっといてもらいましょう、
とでも言われそうだ。

写真は、ひかりちゃん提供。

・蝉しぐれ負けてならじと鳥も啼く  野衾