悪態

 

・西空や梅雨の明けたる色をなし

定食屋にて。
「……自分が捨てるところでもないのに
イチャモンつけやがって、
……いるんだよね、ああいうババアが。
プラゴミを捨てる日じゃないっていうわけさ。
ああ、そうでございますかと。
……。
自分の区域のところなら、文句いうのも分かるよ、
他人のところなんだから、関係ないじゃない。
ったくよー。
……。
ゴミみたいなしわくちゃの顔しやがって。
よっぽどひまなのかね。
腰曲がっちゃってさ、
お前は意地悪ばあさんかっていうんだよ。
ったく……。
ルール違反する奴がいるんじゃないかって、
いつも見張ってんじゃないの、……」
延々、憤懣やるかたなしといった具合です。
途切れがちになりながらも、
大声でまくし立てています。
顔を上げ、
ふと見遣れば、
眠い干しブドウのような
けして若くない女性が分厚い赤い唇から
口角泡を飛ばしてしゃべっているのでした。
向かい合わせで聞いていた
こちらもけして若くない二人の女性は、
眠い干しブドウのような女性のあまりの勢いに呑まれ、
仕方なく相づちを打っているような具合。
干しブドウ、
よほど腹に据えかねたんでしょう。

・一日の汗と埃をシャワーかな  野衾

 

 

● 「読書会」のお知らせ

春風社事務所を会場にして、
毎月行っているトークイベントのお知らせです。
今月は、
「池内紀の読書会」と題し、
ドイツ文学者でエッセイストの池内紀さんを
ゲストにお招きします。
池内さんの自著2冊、訳書1冊を取り上げ、
ご本人を囲みながら、
旅、カフカ、翻訳の裏話について、
いろいろ楽しいお話をうかがいます。
取り上げる本は、
『海山のあいだ』(中公文庫)
『となりのカフカ』(光文社新書)
『香水――ある人殺しの物語』(文春文庫)

今回は土曜日ということもあり、
大勢のご応募が予想されます。
お早目のご予約をお願いします。

日時 7月21日午後6時~
場所 春風社
参加費 1000円

詳しくは、こちらをご覧ください。