本を送る

 

・梅雨明けを待ちて華やぐ源氏かな

自宅に本を一冊も増やせない状況になりました。
床に本を置きたくない。
トイレにまでは置きたくない。
部屋から本が溢れるようなことをしたくない。
一冊一冊涼しげな状態にしておきたい。
ぜいたくかもしれませんが、
そういう希望がありまして、
ついに、
文庫本一冊置くための余地もなくなりました。
あくまでも人が主、
本は従と思っていますから、
本に許されている空間から本がはみでることを許さない。
家訓とするところです。
苦悶。
捨てるか。
無理。
また売るか。
不可。
苦肉の策として、
宅配便で秋田の実家に送ることにしました。
父に電話し了解を得ました。
さてと。
空のダンボールをもらいに近くのコンビニへ。
レジに並んだ客がいなくなった頃を見計らい、
「あのー。空のダンボール分けてもらえませんか?」
「渡せないことになっているんですよ」
え!?
そうなの?
むかしなら、
どうぞどうぞといくらでもくれたのに。
目的のものを手に入れられず、
交差点の近くをとぼとぼ歩いていたら、
酒屋の看板が眼にとまり、
点滅する青信号を睨みながら、
急ぎ交差点を渡って酒屋に直行、
「おやじさん。空のダンボールないかな」
「あ。いまちょうど切らしているな。ごめん!」
そう。
ふ。
タイミング悪いときはこんなもんか。
信号が青に変わって横断歩道を歩き始めるや、
「あ。みうらちゃんだ」
ん!?
「あ。ひかりちゃん」
おかげで少し元気になりました。
階段を上り、やれやれと一息。
坂の上の、
田村麻呂でなくゴミ集積所に、
トマトが入っていた(トマトと印刷されていました)
ダンボールが捨てられていましたから、
サイズが大きくどうかなと思いつつ、
仕方なく拾って帰りました。
それと先日のサーキュレーターが入っていたダンボール。
二つを組み立て、
詰めるだけの本をぎゅうぎゅう詰めにし、
秋田の実家に送りました。

・君住むや苫屋の松の須磨明石  野衾

 

● 「読書会」のお知らせ

春風社事務所を会場にして、
毎月行っているトークイベントのお知らせです。
今月は、
「池内紀の読書会」と題し、
ドイツ文学者でエッセイストの池内紀さんを
ゲストにお招きします。
池内さんの自著2冊、訳書1冊を取り上げ、
ご本人を囲みながら、
旅、カフカ、翻訳の裏話について、
いろいろ楽しいお話をうかがいます。
取り上げる本は、
『海山のあいだ』(中公文庫)
『となりのカフカ』(光文社新書)
『香水――ある人殺しの物語』(文春文庫)

今回は土曜日ということもあり、
大勢のご応募が予想されます。
お早目のご予約をお願いします。

日時 7月21日午後6時~
場所 春風社
参加費 1000円

詳しくは、こちらをご覧ください。