出版業

 

・面接の子らにあきなひ教へらる

営業職で人材を募集したところ、
たくさんのご応募があり、
相当数の面接を行いました。
志望動機を尋ねると、
春風社のことをいろいろと褒めてくれます。
褒められて成長したいタイプですから、
嬉しくないこともないですが、
前に勤めていた出版社が倒産し、
赤羽の飲み屋で酒の勢いのままに、
「出版社を作ろう!」と宣言して作った出版社を、
日本の名だたる大学や大学院を卒業された方々が受けに来る
ことを冷静に考えてみると、
これは、
春風社の魅力というよりも、
出版そのものに人を惹きつける力であって、
春風社が今のところ
それを忘れていないということかな、
ぐらいに思っていたほうがよさそうです。
先日、
大久保文香さんが来社されました。
稀代の出版人・秋朱之介のお嬢様です。
大久保さんを通してうかがい知る秋朱之介の心意気は、
なんとも清清しい。
出版史に名を遺す秋が装丁した本を、
秋は自室に一冊も所蔵していなかったといいます。
えらい!
秋の『書物游記』には、
本づくりの大変さ、苦労、辛さ、憂さ、
だけでなく、
たのしさと喜びが行間からにじみ出ており、
何度も身につまされ、
笑い泣き、
泣き笑いさせられました。
せっかく横浜で起こした出版社ですから、
ご縁を賜り、
先達秋朱之介の域に
少しでも近づきたいと思っています。

・黴の花吹き飛ばすごとボブマーリー  野衾