いよいよ明日

 

・アスファルト毛穴ふさがる酷暑かな

ドイツ文学者でエッセイストの
池内紀さんをゲストにお招きしての読書会が、
いよいよ明日(土)に迫りました。
池内さんの自著2冊、訳書1冊を取り上げ、
ご本人を囲みながら、
旅、カフカ、翻訳の裏話について、
いろいろ楽しいお話をうかがいます。
取り上げる本は、
『海山のあいだ』(中公文庫)
『となりのカフカ』(光文社新書)
『香水――ある人殺しの物語』(文春文庫)

どれもおもしろいですよ。
席に少し余裕があります。
ご興味のある方はぜひお越しください。
ワインを用意してお待ちします。

日時 7月21日午後6時~
場所 春風社
参加費 1000円

詳しくは、こちらをご覧ください。

・瞑想にあらず居眠り気功かな  野衾

悪態

 

・西空や梅雨の明けたる色をなし

定食屋にて。
「……自分が捨てるところでもないのに
イチャモンつけやがって、
……いるんだよね、ああいうババアが。
プラゴミを捨てる日じゃないっていうわけさ。
ああ、そうでございますかと。
……。
自分の区域のところなら、文句いうのも分かるよ、
他人のところなんだから、関係ないじゃない。
ったくよー。
……。
ゴミみたいなしわくちゃの顔しやがって。
よっぽどひまなのかね。
腰曲がっちゃってさ、
お前は意地悪ばあさんかっていうんだよ。
ったく……。
ルール違反する奴がいるんじゃないかって、
いつも見張ってんじゃないの、……」
延々、憤懣やるかたなしといった具合です。
途切れがちになりながらも、
大声でまくし立てています。
顔を上げ、
ふと見遣れば、
眠い干しブドウのような
けして若くない女性が分厚い赤い唇から
口角泡を飛ばしてしゃべっているのでした。
向かい合わせで聞いていた
こちらもけして若くない二人の女性は、
眠い干しブドウのような女性のあまりの勢いに呑まれ、
仕方なく相づちを打っているような具合。
干しブドウ、
よほど腹に据えかねたんでしょう。

・一日の汗と埃をシャワーかな  野衾

 

 

● 「読書会」のお知らせ

春風社事務所を会場にして、
毎月行っているトークイベントのお知らせです。
今月は、
「池内紀の読書会」と題し、
ドイツ文学者でエッセイストの池内紀さんを
ゲストにお招きします。
池内さんの自著2冊、訳書1冊を取り上げ、
ご本人を囲みながら、
旅、カフカ、翻訳の裏話について、
いろいろ楽しいお話をうかがいます。
取り上げる本は、
『海山のあいだ』(中公文庫)
『となりのカフカ』(光文社新書)
『香水――ある人殺しの物語』(文春文庫)

今回は土曜日ということもあり、
大勢のご応募が予想されます。
お早目のご予約をお願いします。

日時 7月21日午後6時~
場所 春風社
参加費 1000円

詳しくは、こちらをご覧ください。

 

みらいのゆくすえ

 

・羽蟻が首筋に這う暑苦し

すぐれた漫画家はすぐれた思想家であると思っていますが、
今月十四日付の神奈川新聞を読み、
そのことをあらためて確認しました。
同新聞社の佐藤将人記者が
漫画家のしりあがり寿さんを取材しまとめた記事が、
「かながわ時流自流この人が語る」欄に掲載されました。
穏やかな語り口調のしりあがりさんが、
震災後の状況について静かに激しく語っています。
その思考、思想のなんと過激なことか。
やわらかく深く徹底しています。
それでいて分かりやすい。
本当の思想家だと思います。
そんなふうに感じられるのは、
佐藤記者の事前準備と筆力がすぐれているからでしょう。
コチラです。
ぜひお読みください。

・風止みて汗がじんわりじっとりと  野衾

 

● 「読書会」のお知らせ

春風社事務所を会場にして、
毎月行っているトークイベントのお知らせです。
今月は、
「池内紀の読書会」と題し、
ドイツ文学者でエッセイストの池内紀さんを
ゲストにお招きします。
池内さんの自著2冊、訳書1冊を取り上げ、
ご本人を囲みながら、
旅、カフカ、翻訳の裏話について、
いろいろ楽しいお話をうかがいます。
取り上げる本は、
『海山のあいだ』(中公文庫)
『となりのカフカ』(光文社新書)
『香水――ある人殺しの物語』(文春文庫)

今回は土曜日ということもあり、
大勢のご応募が予想されます。
お早目のご予約をお願いします。

日時 7月21日午後6時~
場所 春風社
参加費 1000円

詳しくは、こちらをご覧ください。

 

本を送る

 

・梅雨明けを待ちて華やぐ源氏かな

自宅に本を一冊も増やせない状況になりました。
床に本を置きたくない。
トイレにまでは置きたくない。
部屋から本が溢れるようなことをしたくない。
一冊一冊涼しげな状態にしておきたい。
ぜいたくかもしれませんが、
そういう希望がありまして、
ついに、
文庫本一冊置くための余地もなくなりました。
あくまでも人が主、
本は従と思っていますから、
本に許されている空間から本がはみでることを許さない。
家訓とするところです。
苦悶。
捨てるか。
無理。
また売るか。
不可。
苦肉の策として、
宅配便で秋田の実家に送ることにしました。
父に電話し了解を得ました。
さてと。
空のダンボールをもらいに近くのコンビニへ。
レジに並んだ客がいなくなった頃を見計らい、
「あのー。空のダンボール分けてもらえませんか?」
「渡せないことになっているんですよ」
え!?
そうなの?
むかしなら、
どうぞどうぞといくらでもくれたのに。
目的のものを手に入れられず、
交差点の近くをとぼとぼ歩いていたら、
酒屋の看板が眼にとまり、
点滅する青信号を睨みながら、
急ぎ交差点を渡って酒屋に直行、
「おやじさん。空のダンボールないかな」
「あ。いまちょうど切らしているな。ごめん!」
そう。
ふ。
タイミング悪いときはこんなもんか。
信号が青に変わって横断歩道を歩き始めるや、
「あ。みうらちゃんだ」
ん!?
「あ。ひかりちゃん」
おかげで少し元気になりました。
階段を上り、やれやれと一息。
坂の上の、
田村麻呂でなくゴミ集積所に、
トマトが入っていた(トマトと印刷されていました)
ダンボールが捨てられていましたから、
サイズが大きくどうかなと思いつつ、
仕方なく拾って帰りました。
それと先日のサーキュレーターが入っていたダンボール。
二つを組み立て、
詰めるだけの本をぎゅうぎゅう詰めにし、
秋田の実家に送りました。

・君住むや苫屋の松の須磨明石  野衾

 

● 「読書会」のお知らせ

春風社事務所を会場にして、
毎月行っているトークイベントのお知らせです。
今月は、
「池内紀の読書会」と題し、
ドイツ文学者でエッセイストの池内紀さんを
ゲストにお招きします。
池内さんの自著2冊、訳書1冊を取り上げ、
ご本人を囲みながら、
旅、カフカ、翻訳の裏話について、
いろいろ楽しいお話をうかがいます。
取り上げる本は、
『海山のあいだ』(中公文庫)
『となりのカフカ』(光文社新書)
『香水――ある人殺しの物語』(文春文庫)

今回は土曜日ということもあり、
大勢のご応募が予想されます。
お早目のご予約をお願いします。

日時 7月21日午後6時~
場所 春風社
参加費 1000円

詳しくは、こちらをご覧ください。

サーキュレーター

 

・気にならず十三日の金曜日

気にしているじゃん。みたいな。
それはともかく。
きょうは、サーキュレーターの話です。
家人がサーキュレーターを買ってきました。
扇風機の風が人の体に直接向かうのに対し、
サーキュレーターは部屋の空気をかき回すことで、
間接的に人体に風を送ります。
家が狭いので、
極力モノは買わないようにしているのですが、
エアコンのスイッチを入れる入れないで、
しょっちゅうもめるものですから、
また、
あまり高価なものではなく、
場所もそれほどとらないようなので、
購入することに反対しませんでした。
家人は冷え性なため、
エアコンの風が苦手です。
一方わたしは暑がりで、
しょっちゅう、
あぢーあぢーあぢーあぢーあぢーと、
念仏のように唱えています。
なので、
サーキュレーター購入は問題解決のための、
苦肉の策なのでした。
実際のところ、
わたしはあまり期待していませんでした。
電源を入れ、
設定をいろいろ変えてみます。
ん!?
え!?
思わず、笑ってしまいました。
なんとこのサーキュレーター、
首を左右に振るだけでなく、
上下にも振るのです。
左右と上下の合わせわざは爆笑もの。
まるでラジオ体操の旋回みたい。
アハハハハ…。
わたしの
「ふ。おまえなんかにあまり期待はしていないさ」
のこころの声を聞き届けているかのように、
とにかくいっしょうけんめいに首を振ります。
その姿がなんともけなげで滑稽で、
いじらしくさえ感じます。
期待しないでゴメンナサイと、
こころのなかであやまりました。

・風鈴の音で体感温度下ぐ  野衾

 

● 「読書会」のお知らせ

春風社事務所を会場にして、
毎月行っているトークイベントのお知らせです。
今月は、
「池内紀の読書会」と題し、
ドイツ文学者でエッセイストの池内紀さんを
ゲストにお招きします。
池内さんの自著2冊、訳書1冊を取り上げ、
ご本人を囲みながら、
旅、カフカ、翻訳の裏話について、
いろいろ楽しいお話をうかがいます。
取り上げる本は、
『海山のあいだ』(中公文庫)
『となりのカフカ』(光文社新書)
『香水――ある人殺しの物語』(文春文庫)

今回は土曜日ということもあり、
大勢のご応募が予想されます。
お早目のご予約をお願いします。

日時 7月21日午後6時~
場所 春風社
参加費 1000円

詳しくは、こちらをご覧ください。

得した気分

 

・街逃れ木下闇に息を吐く

このごろの朝読、
瀬戸内寂聴訳『源氏物語』が
いよいよ最終十巻目に入りました。
おもしろい!
光源氏が死んでからの、
いわゆる宇治十帖の物語を、
いままでなんとなく
オマケみたいに思ってきましたが、
どうしてどうして、
そんなことはまったくありません。
とにかく登場人物たち一人ひとりが生き生きしています。
滑稽なぐらい。
たとえば、
女好きの匂宮(におうのみや)が
悲劇のヒロイン浮船(うきふね)に初めて会う場面で、
浮船付きの乳母が事が起こってはいけないと、
匂宮を鬼瓦のような顔で
(とは書いていませんが)睨み、
匂宮は匂宮で、
老女の乳母をつねる(!)なんていうのは、
思わず笑ってしまいます。
また、
光源氏もそうでしたが、
この匂宮も、薫も、
男のいやらしさ、くだらなさを
これでもかというぐらい見せつけてくれます。
男であることがいやになってしまいます、ホント。
それぐらい、
紫式部という人は、
男の生理と生態を洞察していたということなのでしょう。
千年も読み継がれるわけです。
この物語を読んで、
男としての自身のいやらしさ、
くだらなさを思わない男はいないのじゃないでしょうか。
ところで、
寂聴さんのこの本を、
わたしは古書で安く手に入れましたが、
最終巻を開いてアッと驚きました。
ご本人のサインが本の見返しに筆文字で書かれてありました。
訳が完結したことの記念に、
サイン会か講演会でも行われたのでしょうか。
なんだか得した気分です。

・五月雨を降らしゆったりゆったりと  野衾

 

● 「読書会」のお知らせ

春風社事務所を会場にして、
毎月行っているトークイベントのお知らせです。
今月は、
「池内紀の読書会」と題し、
ドイツ文学者でエッセイストの池内紀さんを
ゲストにお招きします。
池内さんの自著2冊、訳書1冊を取り上げ、
ご本人を囲みながら、
旅、カフカ、翻訳の裏話について、
いろいろ楽しいお話をうかがいます。
取り上げる本は、
『海山のあいだ』(中公文庫)
『となりのカフカ』(光文社新書)
『香水――ある人殺しの物語』(文春文庫)

今回は土曜日ということもあり、
大勢のご応募が予想されます。
お早目のご予約をお願いします。

日時 7月21日午後6時~
場所 春風社
参加費 1000円

詳しくは、こちらをご覧ください。

喜寿

 

・坂無くてブレーキ闇に雉の声

母はきのうで七十七。
弟は五十二。
母に電話をし、弟にメールしました。
母と弟は同じ誕生日です。
九十八歳で亡くなった祖父とわたしの誕生日は一日違い。
先日面接に来られた女子大生は、
わたしと同じ誕生日でした。
関係ないですけど。
弟から返信のメールがありました。
ウルッときました。
半世紀を生きてきたなんて信じられません。
弟もきっとそんな思いでしょう。
腰をさすりさすりしている母ですが、
せいぜい養生して、
つぎは、
米寿を目標に長生きしてもらいたいと思います。

・高慢の鼻を折られてヘシオドス  野衾

 

● 「読書会」のお知らせ

春風社事務所を会場にして、
毎月行っているトークイベントのお知らせです。
今月は、
「池内紀の読書会」と題し、
ドイツ文学者でエッセイストの池内紀さんを
ゲストにお招きします。
池内さんの自著2冊、訳書1冊を取り上げ、
ご本人を囲みながら、
旅、カフカ、翻訳の裏話について、
いろいろ楽しいお話をうかがいます。
取り上げる本は、
『海山のあいだ』(中公文庫)
『となりのカフカ』(光文社新書)
『香水――ある人殺しの物語』(文春文庫)

今回は土曜日ということもあり、
大勢のご応募が予想されます。
お早目のご予約をお願いします。

日時 7月21日午後6時~
場所 春風社
参加費 1000円

詳しくは、こちらをご覧ください。