人間ポンプ

 

・台風過季節を忘る夜明けかな

野毛の大道芸に詳しい方から聞いた話。
人間ポンプという芸があり、
いろんなものを飲み込んで、
胃まで落としてそれからカッと吐き出す。
白と黒の碁石を飲み込み、
客の要望に応え、
お望みの色の碁石をカッ。
なぜそれができるかといえば、
白と黒では、
微妙に温度差があり、
それを喉で感知するそうです。
ほんとかな。
さて驚いたのは、
人間ポンプのその方、
あるとき、蛇を飲み込んだ。
胃袋に落とされた蛇は胃液にまみれ七転八倒。
体がだんだん溶けていく。
このままでは大変と蛇君たまらず胃壁に噛み付いた。
今度は人間ポンプがギャーと喚いた。
蛇君と人間ポンプの壮絶なバトル。
果たしていかなることになったのか。
人間ポンプはすぐに医者に運ばれ、
緊急手術で腹を割き、
胃の中から蛇君を取り出したそうです。
というわけで、
バトルの結果は蛇君の勝ち。
いや、
蛇君の体も半分ほど溶けていたから引き分けか。
いずれにしても、
想像するだに胃が痛くなるお話でした。

写真は、なるちゃん提供。

・アーアーアー嵐去ったと烏告ぐ  野衾