踵のこころ

 

・きのふ白けふ紫の垣根越し

先々週のことです。
黄金町にある映画館ジャック&ベティまで歩きました。
少し履き慣れてきた靴に中敷きを入れ。
それがよくありませんでした。
早々に靴擦れを起し、
コンビニで傷絆創膏を購入し三層に貼ってこれでよし!
と思ったのですが、
考えが甘く、
痛みはだんだん増してきます。
あのとき、
なぜ中敷きを取らなかったかが不思議です。
同行の二人に遅れをとりながら、
そろりそろり盗人のように歩きました。
こころが次第に下降し、
丹田を通過、
もはや上半身を離れ、
膝を通り越して踵のところに落ち着きました。
踵のこころは景色を楽しみません。
地面から数センチのこころは、
ひたすら塞いでいます。
家に帰って水ぶくれに針を刺して水を抜き、
ようやくこころが上に戻ってきました。
あのとき、なぜすぐに中敷きを抜かなかったのか。
せっかく買った中敷きだから、
もったいなく思ったのか。
やぶれかぶれ。
しばらく中敷きを抜いておくことにしました。

写真は、しょうこさん提供。

・曇天の下を蟻が這ってゐる  野衾