ゆうちゃん

 

 春分の日を胡坐にてジョンソン伝

家人の姪のゆうちゃんは六歳。
来月から小学生になります。
バイオリンがとにかく好きで、
一日数時間の練習を厭いません。
発表会では緊張するということが全くなく、
壇上から客席を睥睨している風。
またゆうちゃんは、
ときどきおもしろいことを言います。
先日、家人が妹に電話したときのこと、
ゆうちゃんが受話器をとりました。
少しだけゆうちゃんと話し、
そろそろ妹に電話を代わってほしいと思ったかして、
その旨をゆうちゃんに告げると、
ゆうちゃん、「待って待って。勝負する」
何を勝負するのでしょうか。
よくわかりませんが、
きっとどこかで「勝負する」という単語を聞きつけ、
これは使えると思ったのでしょう。
ふだんのゆうちゃんを知っているので、
たしかにゆうちゃんは勝負する子と納得です。
この春休みに初めて外国へ行くことになり、
ゆうちゃんは、
姉のさきちゃんとお母さんと三人で
パスポートセンターに向かいました。
手続きは大人がしても、
確認のため本人が赴かなければなりません。
相当長い列ができていたらしく、
なかなかゆうちゃんたちの番が回ってきません。
とうとうこらえ切れなくなり、
ゆうちゃん、
「出番、まだ?」
たしかに出番ではありますが…。
列に並んだ皆さんから笑いが漏れていたそうです。

 パスポート列に並びて出番まだ?  野衾