ゆっくりゆっくり

 

 急ぐなよそろりそろりと雪の道

四年に一度の二月二十九日、
関東では雪が降りました。
北の地方に降る雪とちがって、
みぞれ雪でべたべたとしています。
硬く凍った雪道を歩くのとはまた異なり、
べちゃべちゃの雪道を歩くのはむずかしい。
大事なことは二つ。
一つ、地面に対して常に垂直に足裏を接地させること。
一つ、そうしながらも、
すべって転ぶかもしれないことを忘れぬこと。
抜き足差し足、
ゆっくりと泥棒のごとくに。
長靴を履いて外へ出、
急な階段に差し掛かると、
前を同じマンションの上階に住む女性が、
手すりにつかまりながら
ゆっくりゆっくり下りていました。
あいさつをして追い越したら、
「わたし何度も転んでいるんですよ」と後ろから。
そういえば、
家人もここで転んだと言っていたっけ。
などと考えていたら、
ズルッ。
危なくこけるところでした。

写真は、橋本さん提供。

 ふくふくとこの部屋桃の節句かな  野衾