夢はいつでも

 

 氷解け浮かれてすべる踵かな

おばさんベトナム留学記』が、
産経新聞の全国版で紹介されました。
著者は中嶋弘子さん。
大阪府富田林市在住。
ベトナムが大好きだった次男を不慮の事故で亡くされた後、
息子さんに導かれるようにして
ベトナム留学を決意、
ついに一年間の留学を
実り多いものにされました。
その成果が『おばさんベトナム留学記』です。
編集しながら、
行間に息子さんの気配と魂を感じ、
二人いっしょの旅なのだと思わされました。
中嶋さんはこれからさらに、
日本語教師の資格を取得し、
ベトナムで日本語を教えることを夢に描いています。
記事を書いてくださった
産経新聞文化部の方に
お礼の電話を差し上げたところ、
取材を通じて中嶋さんから元気をもらったと、
とても喜んでおられました。
記事はコチラです。

 大盛りを食しほこほこ春の腹

未来トーク

 

 雨風を伴いゴーと春一番

先だって宮崎駿さんの
『本へのとびら――岩波少年文庫を語る』を読みました。
とても新鮮でした。
そして、思いました。
今こそ大人が児童文学を読まなければならないと。
なぜなら、
宮崎さんによれば、
「生まれてきてよかったんだ、
と子どもにエールを送るのが児童文学」
ということになるからです。
大人向けの文学を読んで、
本気でそう思えるものがどれぐらいあるでしょう。
問題は、子どもの未来ですが、
それはとりもなおさず
わたしたちにとっての希望でもあります。
さてその未来、
どんな展望がありうるのでしょうか?
3・11後、
未来は見通せなくなっています。
だからこそ、
いま、未来を思い描くこと、
顔を上げ、前を向いて歩くことが大事だと
漫画家のしりあがり寿さんは考えておられます。
「生まれてきてよかったんだ」と
子どもにエールを送れる未来はあるのか、
わたしは、そんな気持ちで
しりあがりさんと中島さんのトークイベントを
聞きに行こうと思っています。
春風社初企画のトークイベントは
今週土曜日、
青山ブックセンター本店カルチャーサロン青山にて、
12:30オープン、13:00スタート、
参加費840円、
お問い合わせは、03-5485-5511まで。
お近くでご興味のある方は、
どうぞいらしてください。

写真は、ひかりちゃん提供。

 ビニル傘雨の滴を見てゐたり

目録新聞

 

 人知らぬ過ち悔いし二月かな

年に二回発行している春風目録新聞は、
おかげさまで好評を博しており、
多くの方から声をかけていただいております。
弊社の場合、
刊行書目のうち研究書が圧倒的に多く、
大学の先生たちにも見ていただきたいとの考えから、
かなりの数の目録新聞を送付しています。
そうすると、
大学によっては、
送付先のA先生はすでに退職しているから、
これからはA先生には送ってよこすな、
とは書いていませんが、
迷惑だよというニュアンスが感じられる
(本当はそんなふうには思っていないのかもしれません)
メールが送られてくることがあります。
ところが昨日、
うれしいメールが届きました。
広島大学からのものでした。
まず、
目録の送付に対して感謝の言葉があり、
それから、
退職された先生への送付については、
今後リストから外してほしいとの依頼(!)の文面でした。
メールのタイトルにも
「依頼」の単語が使われていました。
こういう時です。
やっていることが仕事を超えて、
人様に届いているなと感じられ嬉しくなるのは。
元気をもらいました。

 小さき蜘蛛出でて目の前留まりぬ

お引越し

 

 冬天下インド料理の辛さかな

矢萩多聞さんが京都に引越しすることになりました。
引きつづき春風社の仕事はしていただきます。
引越しの準備でいろいろ用事があるだろうさなか、
声をかけてくださり、
多聞さん自らインド料理の数々を作り
会社まで持ってきてくださいました。
お子さんも大きくなり、
蹲踞の姿勢から自分で立ち上がれるようになりました。
みんなの見ている前で何度もやってくれます。
まるでスター。
外はまだ寒いですが、
もうすぐ春、
新しい生活が始まります。
手作りインド料理の旨さ辛さとアルコールで、
昼から皆の顔がポッと赤らんでいます。
多聞さんが引っ越すことで、
春風社の仕事も新しい展開を見せることでしょう。
なによりも、
声をかけてくださったことがうれしく、
目頭が熱くなりました。

 鏡花読みまだ見ぬ川に雪しんしん

いやいやえん

 

 中天に黄を刷きぽっかり冬の月

中川 李枝子さんの童話『いやいやえん』を読みました。
イラストは大村百合子 (結婚後に山脇百合子) さん。
中川さんの妹さんだそうです。
これも皆さん、よくご存知のことでしょう。
わたしの周りの本好きのほとんどが、
子供のころ『いやいやえん』を読んだと言います。
そんなに面白いのかと思ってきましたが、
なんでか手に取る機会がありませんでした。
大人の本をずいぶん読んできて、
なんだかだんだん飽きてきて、
少しいやにもなりましたから、
『いやいやえん』を読むには
ちょうどいい頃合か(笑)と思ったりもし、
道を挟んですぐ近くの
神奈川県立図書館で借りてきて読みました。
図書館は便利です。
手に取ってみて、
上製本なのにしなしなと手になじみ、
いかに多くの人に読まれているかが感触でわかりました。
さて読み始めたら、
途中でやめられず一気に読んでしまいました。
独特! おもしろい!
ふね! くじら! くま! おおかみ! いやいやえん!
ふむ~。すごい!
今まで読んできた本とちがうなー。
絵がまたいい!
どの話も小難しい因果の理法を超えています。
しげるくん、いいなあ。わかるなあ。
深くとてつもなく大きな河が物語の底を流れているよう…。
堂々としていて、大らか。
子どものころ読まなかったことは、
必ずしも悪くないなと
負け惜しみでなく思い始めています。

写真は、昌子さん提供。

 ホッカイロ温度高まり腰浮かす

赤羽漫画

 

 ポケットに夢とガム無しホッカイロ

清野とおるさんの『東京都北区赤羽』が面白い!
漫画です。
赤羽で大ブレーク中だそうです。
神奈川新聞社の自転車記者さんから教えてもらいました。
現在七巻まで出ているようですが、
とりあえず①と②をアマゾンで買いました。
さっそく開いて読み始めたら、
十年間通い、仕事をし、遊び、
カプセルホテル住まいをしたあの赤羽の時間と空気が
各ページからもわもわ~っと
ハクション大魔王のごとく立ち上がってきました。
その筆力、
ただごとではありません。
さっそく赤羽のユイちゃんに電話。
「もしもし。みうらちゃんだよー。久しぶり」
「あ。みうらちゃん。元気?」
「うん。元気。ところでさ、『東京都北区赤羽』知ってる?」
「うん。知ってる知ってる。漫画でしょ。整骨院で読んだ」
「え! 整骨院? 整骨院に行ってるの?」
「うん。年だからさ。あちこちね」
「だめだよ気をつけなきゃ」
「うん。ありがとう。
それよりこのごろ三浦ちゃん来ないじゃないよ。たまには来てよ」
「そうね。行く行く」
というようなことで、
ユイちゃんも整骨院で読んで知っていました。
ユイちゃんというのは、
わたしがよく通っていた赤羽にあるスナックのおねえさんで、
拙著『父のふるさと 秋田往来』にも登場します。
ユイちゃんから頼まれ、
古書で『大辞林』を買ってあげたことがありました。
お店の客に馬鹿にされたと
悔し涙で電話をしてきたことがありました。
『東京都北区赤羽』の清野さん、
ツブヤ大学にお呼びしようかと考え中。

 六年目朝一番の気功かな

六年目

 

 雪積もりアダマサクルと父が言ふ

継続は力なりが信条(笑)のわたしは、
これはいい!と信じたら、
死んでもそのことを止めません。
死んだら止めざるを得ませんけど。
その点、
日清戦争で死んでもラッパを放さなかったという
木口小平(きぐち・こへい)に似ているかも知れません。
木口小平は岡山県出身。
もちろんわたしは、
修身教科書の世代ではありませんが、
前に勤めていた出版社で
修身教科書の復刻版をつくったので、
知っているのです。
前口上が長くなりました。
毎朝欠かさずやっている禅密気功
(インフルエンザのとき、休みました)が、
今日から六年目に入ります。
体調が悪かったとき、
これぐらいで良しとしませんかと
西洋医学の医者から告げられ、
こんな状態で社長ができるかと思ったものですから、
藁をもつかむ一念で朱剛先生を訪ねました。
先生、一言。「きっと直ります」
先生は、あまり日本語が上手ではありません。
でも、でもというのもなんですが、
確かに直りました。元気になりました。
中国四千年の歴史は凄い!
禅密気功と朱剛先生に感謝です。
みなさん(ここからが宣伝)、
禅密気功はいいですよ。
まず、コレを読んでください。それからコレを。
そして、体で中国四千年の歴史
(禅密気功はそんなには古くはありませんが)
に触れてみてください。
さて、
話変わって『乱歩彷徨(らんぽほうこう)』
毎日新聞に書評が掲載されました。
書評者は荒俣宏さん。コチラをご覧ください。
というわけで、
よし! 六年目初日の気功を始めるぞ!

 マスク中烏賊そうめんを咀嚼せり