水母

 

 闇よりの頭巾の使者が駆け抜ける

宿の二階から見える川を
水母が流れていった
川に水母は妙だけれど
水母が流れていった
おおきな水母が隙間なく
どんどん どんどん
流れていく
部屋の横にしつらえた水路にも
水母
友人がなげいてみせて
ひょいと一匹つまみあげた
いやいやをするように
透き通ったからだを震わせ
あかく嗤って
こときれた
ケータイの音は
鳴り止まぬ

 夕間暮れおいでおいでの薄かな