まがる

 

 月昇り小舟滑るや賢島

伊藤永之介の小説を読んでいたら、
「溢」の漢字に「まか」とルビを振ってあり、
うれしくなりました。
秋田では、
「あふれる」「こぼれる」ことを「まかる」「まがる」
といいます。
「雨まがた」の言葉から連想される雨の量と圧は、
「どしゃぶり」なんぞの比ではありません。
体に染みている言葉は翻訳不能です。
伊藤永之介は秋田県秋田市出身の作家。

 波静か鋼の月を映しをり