汗みずく東海道線走りたり
念願の写真集『クジラ解体』が完成しました。
ページを繰るたび、見入ってしまいます。
「解剖さん」と呼ばれる人たちが、小山のようなクジラを、
無駄なく解体していきます。その動きに隙はありません。
巻末には捕鯨を取り巻く情勢についての、
小関新人さんによる丁寧な解説が付されており、
写真集を立体的なものにしてくれています。
クジラについて物言うことは、
なかなか微妙な問題を含んでいる中、
勇気づけられる推薦文を多くの方からいただきました。
今年亡くなった脚本家の大野靖子さんは、
写真家の小関与四郎さんを書きたい、
書かせて欲しいと本人に語ったそうです。
その意味が少し分かりかけてきました。
人間は誰も矛盾に満ちた存在ですが、
それを隠そうとするところから無理が生じます。
小関さんは、
人間存在の根底を眼を瞑らずに写してきました。
『九十九里浜』も今回の写真集も、
いわば人間の「はだか」を捉えた写真集です。
そこには体当たりの、
命がけの覚悟がみなぎっています。
いっしょに仕事をできたことを誇りに感じます。
この写真集の本質を見抜き、
共同通信社の石塚記者が記事にしてくださいました。
写真集完成の前日に配信され、
数紙ですでに掲載されたようです。
信濃毎日新聞に掲載されたものがコレです。
白い歯を残し全身汗だらけ