印刷機クジラ解体夏の雲
写真集『クジラ解体』の本刷りが昨日でした。
写真家の小関与四郎さんに立ち会っていただき、
一台十六ページごと入念にチェック、
モノクロ写真の迫力と美しさを改めて感じました。
次つぎ刷り出される写真たちを見ているうちに、
クジラというのは、
自然が与えてくれる巨いなる恩寵なのだということに、
思い至りました。
しかも、繰り返し繰り返し。
繰り返しの恩寵に日本人は、手を合わせてきたのでしょう。
南浦和の印刷所を訪ねながら、
以前いっしょに仕事した四関さんを思い出しました。
四関さんは、
製本部長をしていましたが、
自分の工場だけでは間に合わず、
仕事を外へ出すことになり、
編集担当者としてわたしが外注先を訪問したことがありました。
そのとき事前に、四関さんから、
工場で働く者の気持ちをこんこんと説明され、
暑いときには缶ジュースか缶コーヒーを人数分持って行き、
大きな声であいさつせよと教えてくれました。
四関さんの教えを守り、
缶ジュースと缶コーヒーいろいろ取り混ぜ三十本持ち、
工場長のところへあいさつに行きました。
人数分には足りませんでしたが、
一人でそれ以上は持てません。
その報告をしたくても、
四関さんはもうこの世にいません。
夏草や季の恩寵を刷り出せり