憑き物

 

 鉄棒に下がりひたすら梅雨晴間

子どものときから、
人もそうですが、何らかの理由で、
特別好きになった歌があり、
わたしの場合、たとえばそれは、
トム・ジョーンズのシーズ・ア・レイディ(She’s A Lady)
であったりするわけです。
1971年に発表された曲だそうです。
なんだかすげーかっこいいなあと思いました。
あれから、いろんな洋楽を聴いてきて、
でも、いつもあの、
ウォウ、ウォウ、ウォウ、ウォウと、
上って下る唸り声が耳に焼き付いて離れず、
先々月でしたか、
1970年代の洋楽ヒット100曲なる五枚組CDを買ったところ、
なんとあのシーズ・ア・レイディが、
入っているではありませんか。
さっそく聴いてみました。
ウォウ、ウォウ、ウォウ、ウォウ…。
ははははは…(汗)
なぜか笑ってしまいました。
憑き物が落ちたとは、まさにこのこと。
当時どうしてあんなに好きだったのか、
今となっては謎です。
週刊金曜日、いや先週金曜日、
因幡晃(いなば あきら)のコンサートに行ってきました。
因幡晃もわたしにとって忘れられない人です。
とくに別涙と書いて「わかれ」という歌。
これも1970年代じゃなかったでしょうか。
「いいのよ もういいの わたしのことは~」
く~っ、泣きましたねー、当時。
ああ、こんなに好きなのに好きなのに、
彼女は去っていく…。
いや、自分のことですが。
あれから行く清掃、もとい、幾星霜。
すっかり変わってしまいました。
なつかしい歌ではありますけれど、
引き出しの片隅に忘れられたちびた消しゴムみたいに、
(という比喩が70年代?)
あれ、こんなところに、みたいな感じで、
自分で驚きました。

 マンションのドアを開けたらノコギリか

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