頑張れ!ふるさと石巻 5

 

4月20日、炎上した門脇(かどのわき)小学校へ行った。正面玄関に燃え尽きた3台の乗用車。近くにトランペットが一つ光っていた。校庭には、焼けただれて茶色になった車がうず高く積まれていた。
門脇や南浜町は馴染み深い町だった。郷土史家の故・橋本晶先生の細長い家。石巻地方の貴重な骨董品が足の踏み場もないほどたくさん置かれた佐々木さんの家。わずかな果物と飴菓子を店先に並べ、奥の暗い床に座っていつも手仕事をしていたおばあさん。町角を曲がると、ずうっと以前に河口や石巻湾の浜近くで漁をしていたお爺さんの一軒平家。青春時代の由利ちゃん(故・由利徹氏)たちのマドンナだった「おらいの先生」の奥さん、その「よっちゃん」(91歳)の病院2階のお茶の間は、夏には海風が通り、多くの人が集ってお茶談義に花が咲いた。
瓦礫のなかに見える二つの寺(西光寺、称法寺)の大きな瓦屋根を見当に探しても、その家並みの跡は分からない。

小学校は町に「時」を刻んだ。運動会の行進曲。放課後の子どもたちの喚声。下校時間を知らせるスピーカー。
門脇小学校三年生の涼風真世ちゃんが北海道へ転校のとき、友達が手を振って見送ってくれた教室の窓…赤いランドセルの少女は、振り返って手を振り、先生にお辞儀をしただろう…その校庭がやがて宝塚の大舞台に…。
石巻には今も、行方の判らない方が2700人余りいる。(橋本)

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