視力

 

 八十の父植ゑし苗米となれ

ブルーベリー・アイも飲んでいますが、
目を酷使する仕事ですから、
視力の低下は如何ともしがたいものがありまして、
それにこのごろは、
老眼もひどくなってきましたので、
仕事場でも家に居ても拡大鏡が離せません。
醤油とか薔薇とか髣髴とか鬱とか藪みたいな字は、
どれもほとんど小さい蜘蛛にしか見えません。
昨日、
ゲラ読みにそろそろ疲れてきて、
ヤフーのページを開いたら、
ぼくの好きな韓国の女優、
キム・テヒの写真が目に飛び込んできました。
目薬みたいな韓国ドラマ「アイリス」に出ていた女優さんです。
冗談はさておき、
そのキム・テヒさんの写真に付いていたリードを読み、
なぬっ!! と、目をひんむきました。
「新しい尿が開く今、キム・テヒに密着」
とあったからです。そんなはずはない!
さっそく、
机上左横のボックスに挿してある拡大鏡をパソコン画面にあて、
(焦っていたためか、
オカピーに教えてもらった画面拡大のことを失念しておりました)
文字をなぞると、
「尿」と見えた文字は「尿」ではなく「扉」。
ほ。それはそうです。
文脈から考えても、尿のはずはなく、
どう考えたって扉です。
そりゃそうです。
でも、たしかに尿と扉は形が似ています。
昼間、団鬼六先生がよくいらっしゃっていたという、
わたしもよく行く福家さんで、
女将さんとひとしきり先生のことを話しましたから、
「尿」的な想念が心を支配し、
扉を尿と見間違えるという愚挙に及んだのかと思われます。

 疲れ果て尿と見紛ふ春の宵

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