電車本

 

 ブランコを今年は一人漕いでゐる

電車の中で読む本を、まあ仮に。
JR保土ヶ谷駅から横浜駅まで一駅、
横浜駅から桜木町駅まで一駅ですから、
往復をあわせても数ページしか読めません。
キリが悪いときは、ホームに降り立ち、
キリのいいところまで読んでから階段に向かいます。
それはともかく。
今は、藤井貞和さんの『古文の読みかた』を読んでいます。
岩波ジュニア新書。
巻末にある「岩波ジュニア新書の発足に際して」に、
こう書かれています。
「きみたち若い世代は人生の出発点に立っています。
きみたちの未来は大きな可能性に満ち、
陽春の日のようにひかり輝いています。」
きみたちきみたちきみたちと、全部で六回出てきます。
五十代のわたしは、そのたび緊張します。
中高生対象を読者対象に作られたシリーズでしょうから、
仕方ありません。
でも、そういう方針ですから、
たいへん分かりやすく、勉強になります。
例えば、係り結び。
ぞ、なむ、や、か、こそ、
なんてお題目みたいに唱えて試験に臨んだあれですが、
これについて藤井先生いわく、
「係助詞は、強意をあらわすというより、
緊張をみちびくものといったほうがよろしい。
文を荷作りするものだ、と考えたらいいと思います。」
よろしい。なるほど。
よろしい、なんて言われると緊張します。
だから文が締まって感じられるんだ。
こういうのを啓蒙書っていうんでしょうね。

 葉桜は桜の種類じゃないんだよ

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