峰高く春をデコちゃん艶かし
高峰秀子さんの『にんげん蚤の市』がめっぽう面白い。
高峰さんは、ひょんなことから四年間、
お金にならない美術店をやったことがあったそうです。
お金になるはずがありません。
お客さんは大歓迎だけど、
品物をあまり買っていただくのはストックがなくなるから困る、
なんて思っていたそうですから。
その高峰さんが目をつけ、
あれこれ手伝ってくれた人にセイちゃんという人がいました。
誰だろうなセイちゃんて。
「昭和十三年生れ、江戸っ子のチャキチャキで、
とつぜん捕鯨船に乗りこんだり、
折角修業した養子先きの名門茶道具店を飛び出して
鑑賞陶器にのめりこんだり、と、かなりの変り種だけれど、
人間がまっすぐで、目筋がよくて、
キリキリシャンと明快で、
適当にオッチョコチョイなところが私向きである。」
あの高峰さんにこれほど愛されているとは羨ましい。
昭和十三年生まれ? セイちゃん?
鑑賞陶器?
もしかして?
セイと名のつく、
その後テレビによく出るようになったといえば?
やっぱりそうでした。
セイちゃんとは、
「いい仕事してますねー」の中島誠之助さんでした。
あの高峰さんとこんなエピソードを共有しているなんて、
なんとも羨ましい。
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写真は、まるちゃん提供。
寂しさはうつつに増して春の夢