Archives : 2月, 2011

ラッキー!

 

 ふたたびの運慶仏や亀の鳴く

金沢文庫の運慶展を
もう一度見たいと思っていたところ、
ひかりちゃんりなちゃんのご家族が行くというので、
車に同乗させてもらい、
ふたたび行ってまいりました。
受付で「こちらにお並びください」と教えられ、
教えられたとおりに並ぶや、
すかさず、
「入館五万人目です。おめでとうございます」
文庫長さんから記念品を頂戴しました。
今回の運慶展は読売新聞社との共催らしく、
紙面に写真が掲載されるかもしれないとのこと。
いずれにしても、ラッキーでした。
文庫には金沢北条氏の菩提寺である称名寺が隣接しており、
運慶仏観覧のあと、のんびり散策。
亀と鯉がうじゃうじゃとたむろしているのもまた一興。
池にかかる木橋を渡る風は春を告げています。
帰りは十年ぶりになる「島鮨」さんへ。
美味しくいただきました。

写真は、まるちゃん提供。

 友の眼の赤く兆して花粉かな

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良寛さんは大変

 

 灯り点け窓の曇りし四温かな

現在、金沢大学留学生センターの准教授をしておられる
松田真希子さんに案内していただき、
出雲崎の良寛記念館に行ったことがあります。
芭蕉も出雲崎を訪れたそうです。

荒海や佐渡によこたふ天河(芭蕉)

いいところでした。
このごろ懐かしく思い出します。
吉野秀雄の『良寛』はいい本です。
良寛さんについてのわたしの体験はそれぐらいで、
多くは知りません。
でも、良寛さんを思う気持ちは、
自分のなかに大事にとってあるような気がします。
良寛さんには嫌いなものがあったそうで、
書家の書、詩人の詩、料理家の料理というのですが、
書は下手、詩は書かず、料理もさほど、
の人は少なくないでしょうから、
こんなところにも
良寛さんの人気の秘密があるのでしょう。
東京創元社から昭和三十四年に出版された
『良寛全集』上下二巻が三八〇〇円で出ていましたので、
さっそく購入しました。
人間関係に疲れたときなど、
こころはどうも良寛さんに向かいますから、
あこがれのオーラをまとわされ、
良寛さんはなかなか大変、休む間もありません。

 交差点歩幅十ミリ四温かな

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朝はだんだん

 

 ながむればつと沈丁花待つ気分

六時起床というのが長かったのですが、
しばらく前から五時になり、
このごろは四時、
ふと目覚めたら三時半のときもあり、
そんな折は、
えい面倒だ起きちまえ、なんてことも。
中学高校と、
もともと朝型だったのが、
齢五十を過ぎた頃から自然の成り行きで、
かつ勢いを増したのか、
朝がだんだん早くなっていくようです。
予算消化ということもあるのか、
二月は道路の修復工事が多く、
今も工事の音が聞こえています。

写真は、まるちゃん提供「ブレーメンの音楽隊」

 マフラーを巻いて手にする馬琴かな

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夢に中野好夫

 

 春風や車中のどかに文庫本

わたしはなぜだか、
もと居た学校に再就職することになり、
今日から授業が始まるという日、
ホームルームで
その日の予定をクラスの生徒たちに告げていたら、
同僚のK先生が教室に飛び込んで来、
「中野さんが職員室にいらっしゃっています」
「中野さんて?」
「中野好夫さん」
わたしはあわてて職員室に戻ります。
顔を上げたその人は、
写真で見た事のあるたしかにそれは、
中野好夫さんです。
わたしは、
出版社勤務中に中野さんに手紙を出しており、
それで中野さんは、
学校までわざわざ訪ねてきてくれたのでした。
中野さんは、
わたしが送った手紙の中の「ググッと」
という形容句が気に入ったらしく、
そのことをとても褒めてくださいました。
中野さんの本の感想のなかで使った言葉です。
わたしは興奮し、
なぜ「ググッと」だったのかを説明しています。
何人かの先生がくすくす笑う声が聞こえます。
そんなの関係ありません。
ふと、壁にかかった円い時計に眼をやれば、
一時限目の授業の終了まであと五分。
わたしは中野さんに、
ちょっと待っていてくださるようにお願いし、
職員室を飛び出したのですが、
何階のどこの教室なのか確認し忘れていました。
授業が終って廊下に飛び出した生徒をつかまえ、
目的の教室の場所を尋ねます。
それから廊下を走り、
息せき切って階段を上って教室にたどり着くや、
生徒はもう散り散りばらばら、
担任のK先生が「いいから、いいから」と
手で合図を送ってくれます。
そうか。一時限目はK先生のクラスだったのか。
K先生に何度も頭を下げ、
それから回れ右をし、
階段を二つ飛ばしで駆け下り、
廊下を走って職員室に戻ります。
「中野さんは?」
「たった今これを残して帰られました」
受け取ったメモに鉛筆で何か書かれているのですが、
独特の文字は震えているようで、
わたしには読むことができません。
悔やんでも悔やみきれない気持ちがもたげてきて、
ただ、わんわん泣きたくなりました。

写真は、カワチュウくん提供。

 早春の夜を朝までダダダダダ

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パーフェクト!

 

 春風や龍の星座を見てゐたり

ただいま神奈川県立金沢文庫では、
「運慶展」を開催しています。
梅の香りが微かにただよう細い道を歩いていきます。
静かな館の二階、
大日如来坐像に圧倒されました。
パーフェクト! 完璧!
同じか。
朝一番に訪れたので、人も少なく、
飽きるまで(飽きませんでしたが)見ました。
展示されている仏を一つ一つていねいに見、
またとことこ、大日如来坐像へ。
パーフェクト! 完璧!
同じか。
一目ぼれだね、完璧これは。
時を越えて、ではなく、
見ているうちに、
こちらが帯びている今の時が、
大日如来坐像のもつ時に侵食されていくような具合。
館を出、
京急金沢文庫駅に向かう途中行き交う人の顔は、
言わずもがなのことながら、
どちらさまもパーフェクトとは思えず、
身も心も、もう完璧、
運慶の大日如来坐像に魅せられているのでした。
よーし、ぜったいもう一度見に行くぞ!

写真は、まるちゃん提供です。

 春よ来い小春おばさん勘違い

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三浦衛(みうら・まもる) 春風社代表にして自慢大王&悪ノリ大王。体調のいいときは自らを天才と称し、不調の折はちりあくたにも劣るヤツとしょんぼり。

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三浦衛の本


『カメレオン』
 三人ときどき声にならぬ声を洩らし/とろけ とろけ 唾までとばし/クヂるとナメるとネヂるとチョす…(「鳶」) 自在に色を変え、不意に突き刺さる、軽妙なことばの戯れ。秋田方言満載の詩集。本文は金属活字による活版印刷。


『マハーヴァギナまたは巫山の夢』
 三平佐世夫は、千一夜の夢うつつで女と戯れ、印度に旅し、睾丸を抜かれ、鰐を飼い、横浜を彷徨う。言語の崖っぷちを綱渡りする、めくるめく冒険。本文活版印刷に美麗造本を施した平成の大奇書。


『父のふるさと』
 父の目に映じた故郷の風土、ひと、くらし、農事を、愛惜をこめ描きだす。本文は金属活字による活版印刷。「身と蓋函」に納める。


『出版は風まかせ』
 横浜の出版社「春風社」社長が本づくりと会社経営にまつわるエピソードを豊富におりまぜ、創業から10年を振り返る。