読書推進フォーラム秋田2010

 

 がりがりと挽くコーヒーの香り喫む

先月17日秋田で行われた「読書推進フォーラム秋田2010」に、
パネリストの一人として参加しました。
そのときの詳細が「秋田魁新報」に掲載されました。
「魁」は「さきがけ」と読みます。
興奮してしゃべっていたせいか、
ひょっとこみたいな顔になってしまいました。

 江戸の謎神田明神秋深し

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怪しい人

 

 秋深しかさこそ音の舞ひ降りし

きのうの日曜日、
午後から出社し静かに仕掛かりのゲラに向かいました。
どんなに楽しい人、親しい人でも、
人といっしょにいるときと、
独りでいるときとでは心のありようが違います。
そういうことを思うようになったのも、
つづけている禅密気功のおかげかもしれません。
ところで、
我が社が入っているビルの四階には
五〇〇人ほどを収容できるホールがあり、
休日ともなるといろいろな催し物が開かれますが、
きのうはダンスの大会があったようで、
四階のみではなく、
一階から四階まで廊下も階段も
人、人、人でごった返していました。
ダンスと言ってもいろいろですが、
男女ペアで手を握り合い、
互いの口臭を避けるように顔をそむけ
ふんぞり返って踊るスタイルは、
あれは社交ダンスというものでしょうか。
トイレの中で、
相手の女性と組んだ気になり
練習している初老の男性もいました。
夕刻、
外がようやく暗くなり、
部屋の電源をチェックして鍵をかけると、
退出のための警告ブザーが鳴ります。
急いで部屋を出たら、
顔を化粧で塗りたくった駝鳥のようなおばさんが、
「まあ! 怪しい人かと思ったわ」
まあ! 怪しい人かと思ったわ。
ふん。こっちのセリフだわい。
「はははは。怪しい人ではありません」
俺はまた、あなたが駝鳥かと思ったよ。

 ブラジルを淹れて地球をひと廻り

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ウニ

 

 赤と黒セーター欲しき日となりぬ

寿司ネタでウニがめっぽう好きです。
しかし、ウニは傷みやすく、
傷むとドブみたいな臭いと味がするので、
気をつけなければなりません。
と、
いつもそう思って寿司屋のカウンターに座るのですが、
先日、
久しぶりにドブみたいなウニを食してしまいました。
カウンター越しに差し出された瞬間、
あ、やべ!
と思いましたが、後の祭りです。
頼んでおいて箸をつけぬのは偉そうだし、
どうすんべ、
と、ほんの一瞬悩みましたが、
箸で摘まんで、醤油をたっぷり目につけ、
えい! と口に放り込みました。
と、
くっせ~~~!!!
そのままオエーッ!となりそうでした。
なんとか我慢しました。
失敗でした。
後悔先に立たず。くそっ。
家に帰ってオナラをしたら、
家人が、
なんかドブみたいな臭いがすると言って、
顔を歪めました。

 珈琲とくれば神田神保町

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おしっこ

 

 秋の日やコーヒー香し今朝はモカ

先日ここで紹介した漫画
『とうとうロボが来た!!』のなかに、
おしっこの話が出てきます。
便器に向かって男の子がおしっこを始めると、
なぜかおしっこが二つの流れに分かれます。
男の子は焦って、
一つの流れのほうを便器に入れるようにしますが、
そうすると、
もう一つの流れが便器から外れ、
反対に外れているほうの流れを便器に入れると、
今度は、
今まで便器に入っていたほうの流れが外れることになります。
両方の流れを便器に入れようとするのですが、
結局両方便器から外れて、
トイレがべちょべちょおしっこまみれになるという話。
これ、
男の子なら、大人も含め、
誰でも一度は経験しているんじゃないでしょうか?

 珈琲とくれば岩波文庫かな

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まるます家

 

 肌白きネギたっぷりのダダミ汁

きのうここで、
久住昌之原作、谷口ジロー作画『孤独のグルメ』【新装版】
のことを取り上げましたが、
ブックデザインに、
長田年伸くんが関わっていること以外に、
もう一つ驚いたことがあります。
この漫画は、
輸入雑貨の取り引きを生業としている主人公
井之頭五郎が仕事の途中、
土地土地の食べ物屋に入りその店の料理を楽しむ、
簡単に言えば、
そういった内容の漫画です。
その第4章「東京都北区赤羽の鰻丼」。
ん!?
と思ってページを開くと、
スズラン通りに向かう一角が
細密画のように描かれており、
取材して描いていることは一目瞭然です。
なぜそれがわかるかといえば、
わたしは十年そこで働きましたから
忘れることはありません。
さらにページを開いて、
アッと驚きました。
ま、まるます家じゃん!
朝からやっている店で、
メニュー豊富、
朝からアルコールも飲めます。
赤羽時代、何度か通ったというだけでなく、
新しく出版社を起こそうと決めたのが、
まるます屋でした。
まるます屋の二階で、
「よし。出版社を作ろう!」とおだを上げたのです。
春風社という名前はその時まだありません。
こうして漫画に取り上げられてみると、
たしかに変った面白いお店でした。
これを機会に、
久しぶりに行ってみようかな?

 皺皺のダダミ汁より湯気立てり

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みんな頑張っている

 

 アスファルトヘッドライトの凍へをり

このところ休日出勤つづきで少々疲れ気味。
でも、
電話も音楽もなく、
一人静かに原稿に向き合う時間は格別で、
仕事がとってもはかどります。
二時間があっという間に過ぎます。
顔を上げ、
ちょっと休むか、のタイミング。
エレベーターで下に下りました。
メールボックスにドサッと郵便物が入っていました。
アマゾンに注文していた漫画もあるようです。
社に戻り、
郵便物を仕分けし、
わたし宛のものを読んでから、
アマゾンの分厚いドでかい茶封筒を開けました。
久住昌之原作、谷口ジロー作画『孤独のグルメ』【新装版】
「話題のロング&ベストセラーが、ここに復活!」
なんて帯に書いてあります。
読むのは、
あとの楽しみにとっておくことにして、
ぱらぱらページを開き、
最初に戻ってもう一度ページを開いたら、
目次の裏ページに目が釘付けになりました。
ブックデザイン………日下潤一+長田年伸+浅妻健司
と書いてあるではありませんか。
おおおおおおお!!!!!
疲れが一瞬で吹っ飛びました。
長田年伸くん。
大学の卒業論文に新井奥邃を取り上げたことも縁となり、
卒業後、春風社に入り編集者になった人です。
編集の仕事をしながら、
だんだんデザインのほうへの興味が強くなったようで、
さらに勉強するべく退社しました。
これまで春風社がもらった二度の造本・装幀に関する賞の
一つは、長田くんのデザインによるものです。
仕事を終え、
戸締りを確認し、外へ出たらすでに真っ暗です。
『孤独のグルメ』を家に持って帰り、
夕飯を済ませ、
『孤独のグルメ』を開きました。
長田くんがデザインした本だと思うと、
うれしくて、うれしくて、
最後まで読んでしまいました。
みんな、頑張っているんだなあ。
きのうは、いい日でした。

 休日出勤カチリと鳴りし冬のゴキブリ

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