休み時間

 

 旧街道保土ヶ谷宿に虫の鳴く

中学一年の一学期だったと思います。
休み時間にいろいろ体の話で盛り上がったとき、
相撲部のある生徒が、
トイレで用を足す時あまりいきみ過ぎると、
腸が反転してお尻から出てくるぞと言いました。
そこにいた者たちは皆げらげら笑い、
そんな馬鹿なことがあるものか、
マンガじゃあるまいし、と言って、
語った生徒をたしなめ、
たしなめられた生徒も笑っていましたから、
ウケをねらい、
ありもしない話をでっち上げたのだとばかり思ってました。
間もなく四時間目の授業が始まりましたから、
その話は発展することもなく、
打ち上げ花火か線香花火か分かりませんが、
ぷすんと闇に葬られることになりました。
ところが、
おとといでしたか、
テレビの健康番組を何気なく見ていたら、
直腸が反転して肛門から飛び出す
いわゆる直腸脱という病気について医者が解説しており、
アッ、とわたしは画面に釘付け、
四十年前にタイムスリップしました。
すると、あの生徒、
本当のことを語ったのだろうか。
でも、どう見たって、
真実を語るというふうではありませんでした。
わたしをふくめ、
そこにいた生徒たちが笑ってたしなめたとき、
そうじゃないんだ、本当にあるんだと
強く主張することもしませんでしたから。
気弱な生徒ではなかったし。
でも、もし、
あの時あの生徒が本当のことを話したのに、
ウソと決め付けたのだったとすれば、
悪いことをしちゃったなあ。
それにしても、直腸脱。
若い人もなることがあり、
しかし、どちらかというと、
高齢の女性に多い病気なのだそうです。
いやあ、びっくりしました。

 鍼打てばとろり融けだす残暑かな

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