濱龍

・じりじりと季語吹き飛ばす残暑かな

一日の主な楽しみは昼食で、
きのうもふらりと外に出ました。
さてと。
指をしゃぶってスイと風に当てるがごとく、
足の向くまま気の向くまま、
野毛方面へ下りました。
清泉さんは月曜定休。
福家さんはやっています。
週の始まりは、やっぱり泥鰌かな。
なんてことを思いながら歩いていたら、
下りてきた道と
桜木町駅・日ノ出町駅を結ぶ道の交差点に差し掛かり、
と思いきや、
青の信号がぷかぷかぷかぷか点滅し始めました。
おっと、急ぐことはないし、
待て待てと逸る気持ちをなだめ、
立ち止まり、
ひょいと左手を見れば、
そうか、このごろここに、
新しい中華料理のお店が出来たのだったな、
ということで、
すぐに気が変わり、
急遽このお店に入ることにしました。
「マーボー豆腐定食」と「昔ながらの中華そば」を注文。
二つで1144円だったかな。
正確に憶えていませんが、
たしかそれぐらいだった気がします。
リーズナブルです。
味のほうはと言えば、
むむ、こ、これは、
というほどではありませんでしたが、
ふつうに美味しかったです。
店内は広々しており、70席あるのだとか。
ヨコハマ経済新聞の紹介記事によれば、
千葉市の大和グループのお店だそうです。
今日また行って、
カメラマンの橋本さんが好きな
レバニラ炒めをたのんでみようかな。

・新聞を敷きてごろりの午睡かな

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休み時間

 

 旧街道保土ヶ谷宿に虫の鳴く

中学一年の一学期だったと思います。
休み時間にいろいろ体の話で盛り上がったとき、
相撲部のある生徒が、
トイレで用を足す時あまりいきみ過ぎると、
腸が反転してお尻から出てくるぞと言いました。
そこにいた者たちは皆げらげら笑い、
そんな馬鹿なことがあるものか、
マンガじゃあるまいし、と言って、
語った生徒をたしなめ、
たしなめられた生徒も笑っていましたから、
ウケをねらい、
ありもしない話をでっち上げたのだとばかり思ってました。
間もなく四時間目の授業が始まりましたから、
その話は発展することもなく、
打ち上げ花火か線香花火か分かりませんが、
ぷすんと闇に葬られることになりました。
ところが、
おとといでしたか、
テレビの健康番組を何気なく見ていたら、
直腸が反転して肛門から飛び出す
いわゆる直腸脱という病気について医者が解説しており、
アッ、とわたしは画面に釘付け、
四十年前にタイムスリップしました。
すると、あの生徒、
本当のことを語ったのだろうか。
でも、どう見たって、
真実を語るというふうではありませんでした。
わたしをふくめ、
そこにいた生徒たちが笑ってたしなめたとき、
そうじゃないんだ、本当にあるんだと
強く主張することもしませんでしたから。
気弱な生徒ではなかったし。
でも、もし、
あの時あの生徒が本当のことを話したのに、
ウソと決め付けたのだったとすれば、
悪いことをしちゃったなあ。
それにしても、直腸脱。
若い人もなることがあり、
しかし、どちらかというと、
高齢の女性に多い病気なのだそうです。
いやあ、びっくりしました。

 鍼打てばとろり融けだす残暑かな

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どうやっても

 

 禅密功暑さ眠さの日が過ぎぬ

木曜日は気功教室の日です。
始まりは、静功。
背筋を伸ばして椅子に座り、目をつむります。
もういけません。
ここぞとばかりに眠気が襲ってきます。
「眠気や邪念が襲ってきたら、それを追い払い、
意念に集中してください」と先生が言ったのは、
睡魔に襲われたわたしの体が
グラッとしたせいかもしれません。
静功につづいて動功。
蛹動(ようどう)、擺動(ばいどう)、捻動(にゅうどう)
の三つを順番に行います。
これも、
目をつむってするのが基本ですが、
そうするとすぐにまた眠気が襲ってきますから、
終始、目をバッチリ開けたまま行いました。
先生と、ときどき目が合いました。
眠いときに眠れないというのは、
相当に辛いです。
修業といえば、
これも一つの修業なのでしょう。

 颱風禍秋田訛りを聞ひてをり

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念願

 

 真夏日は後数日の命なり(願)

作家の山崎洋子さん来社。
「春風目録新聞」七号に
原稿をお願いしたことがきっかけとなり、
横浜の土地と歴史にまつわる単著を
お願いすることになりました。
横浜で創業してから、
なにか横浜に因んだ本をと願ってきましたが、
今年は、
田中優子さん、紀田順一郎さんのご縁に始まり、
今回、山崎さんとのご縁ができたことは本当に嬉しい。
しかもディープな横浜の現代史というのだから、
わくわくせずにいられません。
それにしても、
横浜に来て、住んで、
三十年にもなろうとしているのに、
わたくし、
横浜について何も知らないことを痛感しました。
山崎さんからいただいた二冊の本、
ヨコハマB級譚』『横浜タイムトリップガイド』を
まずは熟読し、
足下をちゃんと見据えることから始めたいと思います。

 颱風圏潰れし稲に鼠湧く

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デカい!

 

 朝焼けのいよよ色濃き九月かな

京都からいらっしゃった先生と、
馬車道にある生香園で食事したことを
きのうここに書きましたが、
そのとき、
海鮮焼きそばとビールのほかに、
筍(たけのこ)と椎茸(しいたけ)と鶏肉のスープ
も頼みました。
程なくスープが出来てきて、
編集長ナイ2が分けてくれた小鉢から、
すいとすくって一口食した先生、
「ん。美味しいですね!」
気を好くしたわたしは、
「そうでしょう。これ、旨いんですよ」
自分が褒められでもしたような気になり、
さらに図に乗り、
「これ、家でも簡単に作れますよ。まず干した椎茸と…」
すると、
編集長ナイ2あわてて、
「社、社長、ま、まずいですって」
と、丸テーブルの向かい側から、
何やら手まねでわたしを抑えています。
「ん! なにかな?」
と、一瞬いぶかしく思ったのですが、
すぐに合点がいきました。
わたしの声はデカく、
また響くので、
お店の人にわたしの発言が聞こえることを
慮(おもんぱか)ってくれたのでした。
それと尻、もとい、知り、
自分の声の大きさに驚き、
なんだか可笑しくなりました。

 ぼうとして何やら疼く野分かな

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