気功する仁王像

 

 脳みそが耳より流る夏日かな

南さんから、本をいただきました。
あの南伸坊さんです。
仕事の打ち合わせが終っての帰りがけ、
「これよかったら、どうぞ。差し上げます」
「あ。どうも。ありがとうございます」
ということで、
いただいちゃいました。
『歴史上の本人』という、
南さんが書いた自作自演の変わった、
いや、スゴイ(!)本です。
南さんが歴史上の偉人たち、
二宮尊徳や松尾芭蕉や聖徳太子や西郷隆盛や金太郎や天狗に
心も体もなって、
歴史のナゾに迫るという、とってもスゴクて面白い、
そんでもって笑える本です。
金太郎や天狗が歴史上の人物か
という問題は残るにしても、
さほど大きな問題ではない。というか、全然ない。たぶん。
ぼくが好きなのは、
最終章の「運慶」で、
運慶作の仁王像は傑作としてつとに有名ですが、
南さんが自作自演の仁王像も、
運慶作に負けず劣らずの傑作です。
横浜に向かう電車の中でそのページを見、
プッと吹き出してしまいましたが、
夜、実際に生きて動く仁王像を目の当たりにすると、
だれが思ったでしょう。
木曜日は気功教室の日。
この頃参加している、
おそらく齢七十は越していると思われる男性は、
背骨を波のように動かすという
禅密気功の動きがよほどしんどいのか、
チラと見るたび、
運慶作の仁王像、とくに口の開き具合がそっくりに
汗だくだくで体を動かしています。
もう、仁王像が気功しているとしか思えません。

 きし麺の鼻毛茂れる夏日かな

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