十六校!?

 

 荒梅雨や鋸山の羅漢像

バルザックの小説をまとめて読もうと思い立ち、
『ゴリオ爺さん』から始めていくつか読んできましたが、
ここでちょっと中休み、
ということにして、
シュテファン・ツヴァイクの『バルザック』
を読みました。
手がけた事業にことごとく失敗し、
借金取りに追いまくられ、
バルザックの小説に登場する人物に
引けを取らないくらいの
小説的人生をたどるバルザックですが、
どんなに嵐が吹き荒れても、
こと小説執筆になると、
絶対に妥協を許さない芸術家魂の持ち主
であったことが分かります。
印刷所に最初渡したときに二百枚だったものが、
最終的に二千枚に膨らんだ(十倍!)
こともあったのだとか。
校正が十五回、十六回に及ぶことも。
わたしの二十年を越す編集者人生で
校正回数の最高は八回で、
それでも投げ出したくなったぐらいですから、
バルザックがいかに印刷所泣かせであったか、
想像を絶します。
しかし、追加料金を払って、
印税が無くなってしまうこともあったことを知り、
あのおもしろい小説群が
そうやって生まれたものだったんだなーと、
感慨も一入です。

 ひと替りマンション総会梅雨晴れ間

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