豚バラや七センチ角はちと大きい

ある方から桃をいただき、
中一日置いた昨日がどうやら食べごろのようで、
皮を剥かせたら右に出るもののないテラチーが、
さっそく皮を剥き、
みんなでいただきました。
口中に、えも言われぬ甘さが広がります。
さてこの桃、
季語としては秋の植物でありまして、
わたしが使っている角川書店の
『合本俳句歳時記 第三版』の「桃」の項には、

中年や遠くみのれる夜の桃 西東三鬼

が一番に取り上げられています。
夜の桃!
ところで、これを書いているただいまは朝の二時。
いわゆる丑三つ時ってやつですが、
何をしているかといえば、下の通り。

 暑き夜を覚めて見張りの角煮かな

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日と白

 

 暑き世を奇人天才バルザック

「これは私の趣味と断った上でですが、
勝負の中でも最高の勝負は「男の決闘」です。
そう、一身の名誉をかけた格闘技。
これぞ男の華と思ってしまう。
なぜなら――ここが肝心なのですが――
このとき、負けた方は死ななければならないからです。
弁解無用、問答無用、
力と力の勝負なのだから、勝敗は明日。
この「潔さ」こそ決闘のダンディズム。」
上に引用した文章は、
山田登世子さんと鹿島茂さんの共著
『バルザックがおもしろい』の中の山田さんの発言。
スッと文意が入ってこない。
おかしいな?
眼を凝らして、もう一度読み直しました。
あ!
「勝敗は明日」ではなく、「勝敗は明白」でした。
日と白の違い。
チョンが眼に入らなかった。
ふむ。
相当目が悪くなった。

 戯れて腹に頭突きの梅雨晴れ間

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横浜駅

 

 夏ボケで並びし女性専用車

毎日利用している横浜駅ですが、
年々利用客が増えているような気がします。
混雑は並大抵ではありません。
そのことを考えて、
工事をしているのかもしれませんが、
こっちが終ったかと思うと今度はあっち。
あっちが終ったかと思うと次はそっちと、
なんだか切りがありません。
わたしが利用している横須賀線のホームの工事は、
一段落ついたようで、広々とし、
これはいいなあと思ったのも束の間、
一週間ほど経ったら、
濁流が凹みに押し寄せるように、
ひとひとひとでごった返しています。
どうしてこんなに人が増えたんでしょうか?
ところで、
今日は七夕。

 眠さ食ひ会社の床の午睡かな

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江戸へ留学

 

 梅雨の日や神田明神風吹けり

昨日は、田中優子さんが塾長を務める
神田明神塾の三回目。
秋田県二ツ井出身の写真家・石山貴美子さんが撮影した
四季折々の秋田の写真を見ながらの一時間半。
懐かしい風景に眠気が吹き飛びました。
江戸時代と関連づけた田中さんの話を聞いているうちに、
タイムマシンがあったら、
江戸へ留学してみたくなりました。
「江戸時代の庶民で、
老後のことを考えて不安でたまらない
という人はいなかったと思いますよ」と田中さん。
なるほど。

 暑き夜や事実は奇なりバルザック

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十六校!?

 

 荒梅雨や鋸山の羅漢像

バルザックの小説をまとめて読もうと思い立ち、
『ゴリオ爺さん』から始めていくつか読んできましたが、
ここでちょっと中休み、
ということにして、
シュテファン・ツヴァイクの『バルザック』
を読みました。
手がけた事業にことごとく失敗し、
借金取りに追いまくられ、
バルザックの小説に登場する人物に
引けを取らないくらいの
小説的人生をたどるバルザックですが、
どんなに嵐が吹き荒れても、
こと小説執筆になると、
絶対に妥協を許さない芸術家魂の持ち主
であったことが分かります。
印刷所に最初渡したときに二百枚だったものが、
最終的に二千枚に膨らんだ(十倍!)
こともあったのだとか。
校正が十五回、十六回に及ぶことも。
わたしの二十年を越す編集者人生で
校正回数の最高は八回で、
それでも投げ出したくなったぐらいですから、
バルザックがいかに印刷所泣かせであったか、
想像を絶します。
しかし、追加料金を払って、
印税が無くなってしまうこともあったことを知り、
あのおもしろい小説群が
そうやって生まれたものだったんだなーと、
感慨も一入です。

 ひと替りマンション総会梅雨晴れ間

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ジャンボ!

 

 拭くほどに汗が噴き出すホームかな

装丁の絵と文字をいただきに、
南伸坊さんの事務所に行ってまいりました。
必要最小限なものしか置いてなく、
広々としています。
落ち着きます。
仕事をする人の仕事場は、
やはりこうなのだなあと思いました。
さっそく、
お願いしていた装丁の絵を見せてもらうことに。
あ。
いいですねー!!
ジャンボさんにそっくり!!
これは、本人喜びますよー!!
でかいですねー!!
顔が本からはみ出していますねー!!
興奮してしまい、
つい話し声がでかくなってしまいました。
なんか、とってもいいなあ。
ざっくりとして。
『三島のジャンボさん ミスター・グラウンドワーク』
今月末刊行です。
手前味噌ですが、
装丁も中身もいいですよー。
乞うご期待!

 朝焼けやもったいなさの募りけり

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 扇子もて祖父の仕草を真似してる

暑いですねー。
暑いと、何もしたくなくなります。
ボーッとしています。ボーッ。
ただボーッとしているだけなのに、
首、背中、
二の腕の内側辺りがジンワリ汗ばんできます。
ため息をついたり、
犬みたいに口を開けて呼吸したり。
またため息をついたり。
なんだか、馬鹿っぽい。
こういう時です、
とんでもない空想がもたげてくるのは。
とんでもなさ過ぎて、
ひとりで笑ったり、恥ずかしくなったり。
何か動いた!
しばらく空想に耽り、
それから我ながら呆れて、よっこらしょと。
とにかく暑い。

 九時五十分暑さを失せし心かな

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