しんぼうさんの「おもしろい」

 

 梅雨の夜を京都の人と飲みにけり

名古屋と京都への出張から帰ってきたら、
南伸坊さんからファックスが届いていました。
電話をすると、
「あの原稿、おもしろかったです」
それを聞いて、ホッと胸をなでおろし、
うれしくなりました。
おもしろいしんぼうさんから「おもしろい」と言われたので、
おもしろいの太鼓判を捺された気がしたからです。
原稿というのは、
『三島のジャンボさん ミスターグラウンドワーク』のこと。
今回、
春風社として初めてしんぼうさんに装丁をお願いしました。
水をきれいにし、蛍を呼び戻した静岡県三島の活動が
このたび内閣府から認められ、
全国展開することになりましたが、
その中心的役割を果した人の
ユニークな半生を綴ったものです。
女優の吉行和子さんから素敵な推薦文を頂戴しました。
来月末刊行予定。
乞うご期待!

・梅雨を追ひ破りし時速300キロ

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三十三年ぶりのコーヒー

 

 しみじみと思い出よりもさくらんぼ

大学生のとき、
サイフォンでコーヒーを淹れ、
飲んでいた時期がありました。
なんでサイフォンだったのでしょう?
自分のことなのに、
あまりよく思い出せません。
背伸びしていたのかもしれません。
ちょうど、
ジャズを聴き始めた頃でした。
今年の正月秋田に帰り、
知人の淹れてくれた美味しいコーヒーをいただいた折、
やっぱりサイフォンは違うなあ、
と思いました。
それと、
今、集中的にバルザックを読んでいることも与って、
(バルザックほどコーヒーを飲んだ作家もいないでしょう)
どうしてもサイフォンが欲しくなり、
昨日、横浜駅周辺のデパートを探索し、
ついに求めました。
さらに、
ダイヤモンド地下街にあるコーヒー豆販売店で、
目の飛び出るような値段のブルーマウンテンを
200グラム買い、そのうちの100グラムは
真空パックにしてもらいました。
家に帰り、大事に豆を挽き、
足柄山で汲んできた水をフラスコに入れ、
アルコールランプに火を灯しました。
しばらくすると、
お湯が上昇してきます。
竹べらでゆっくり掻き回し、
火を止めます。
やがて、コーヒーがフラスコに下降してきます。
カップに注ぎ、さっそく試飲。
ん! 美味い!!
三十三年が一気に埋まるようです。
夕方、ひかりな一家がやって来ました。
ひかりちゃん、りなちゃんで、ひかりなです。
楽しい夕食後、
ひかりながコーヒー豆を挽いてくれ、
大人四人でコーヒータイム。
ひかりなは、もう少し大人になってからね。
楽しい時間が過ぎていきます。

今日と明日は、
名古屋、京都出張です。
なので、明日の「よもやま日記」はお休みです。

 コーヒー豆ミルでガリガリ夏来たる

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他人の空似!?

 

 汗みずく遅延電車の到着す

きのうの朝、京浜東北線の電車は、
上下線とも遅れがでていました。
ホームは、
千切りにしたタマネギが狭いまな板からはみ出るごとく、
人が溢れんばかりです。
わたしは、あっさりとあきらめ、
振り替え輸送の市営地下鉄の電車で桜議長、
いや、桜木町まで行くことにしました。
京浜東北線のホームの階段を下りようとしたとき、
下から、
同じビル内の隣の会社の女性が上がってきましたから、
「おはようございます。
電車、遅れているようですよ。
ぼくは、市営地下鉄で行くことにします」
と言いました。
すると、彼女、キョトンとして、
「あ。はい。どうも」
まだ、キョトンとしています。
確かに、
横浜駅で彼女を見るのはこれが初めてですから、
戸惑うのもむべなるかな、です。
ん!? 待てよ!
と、市営地下鉄のホームへ向かいながら思いました。
ひょっとして、
似てはいたけど、別人!?
いやいや、そんなことはない!
あれは彼女だった。
でもなあ…
だとすると、
おれって、相当変なオヤジってことになるぞ。
ふむ。
よし、今度会社であったら聞いてみよう。

 ボケ始め食べたつもりの冷奴

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クマ現る!?

 

 長靴や会社帰りの夏の雲

近眼の人は老眼にならない、
と、どこかで聞いたことがありますが、
あれは嘘です。
ちゃんと老眼になります。
わたし、このごろ老眼ですから。
遠近両用メガネがあることは知っていますが、
それは最後にとっておいて、
今は悪あがきよろしく、
近眼用のメガネを掛けたり外したり、
忙しくしています。
さて、昨日の朝のこと。
メガネを外し、いつものように、
二段組の細かい文字を読んでいました。
ふと顔を上げ、窓の外を見やると、
クマがいました。クマ!?
緑のクマ!?
ん!? ん!?
眼をパチパチとやり、何度かこすって、
それから改めて見ましたが、
やっぱりクマが見えます。
クマだ!! クマだ!!
驚いて、傍に置いたメガネを取り、
メガネを掛け、もう一度、窓の外を見ました。
裸眼ではっきり見えたクマが、
見えません。
へ~。
老眼も悪くない!
全体がぼんやり見えることで、
ふだん気づかないことに気づくこともある!
ってか。
そんなに気色ばむこともないわけですが…。
それはともかく、
クマです。
一度見えたクマの姿は、
はっきり頭と心に焼き付いていますから、
メガネを掛けてそれを追いかけ、
ようやくクマの姿を捕まえました。
それを写真に撮りました。(↓)
どうでしょう。
見えるでしょうか、クマ?
老眼に近づけるために、
ケータイをわざと少しブラして撮ったのですが。

 長靴が無用の長物梅雨晴れ間

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人生くるり

 

 遊俳句早四年目の夏来たる

ふるさと井川町の先達で、
武塙三山(祐吉)という人がいます。
一八八九年八月十五日生まれ、一九六四年四月八日没。
上井河村村長、秋田魁新報社社長、
秋田市市長、秋田放送社長を歴任されました。
九十八歳で亡くなった祖父から、
わたしは三山先生の偉さをたびたび聞いていた
と思う(「思う」というのが情けない)
のですが、
記憶に残ったのは、かろうじて名前のみ、
洟垂らしのワラシとしては、
いつの時代の人? 江戸時代?
それとも、もっと昔?
などと思う程度で、
まさかわたしが小学校に上がるぐらいまで
生きておられたとは、
夢にも思いませんでした。
愚かなことです。
偉い人というのは、
しかも祖父から聞かされていたものですから、
ずっと昔の人だと勝手に思い込んでいました。
先日、
三山先生のご長男・林太郎さんの連絡先を知り、
三山先生のことに少しだけ触れさせていただいた拙著と
手紙をお送りしたところ、
昨日、ありがたいご返事をいただきました。
武塙林太郎さんは、
秋田大学の教授を長く務められた方ですが、
「秋田蘭画」研究の第一人者でもあります。
一九二六年生まれで、現在八十三歳。
マニ車がくるくる回るように、
わたしの人生が
くるり一回転したような気になりました。

 パナマ帽カバンに池波正太郎

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五十年

 

 あそこまで五百二十歩夏の月

今年四月に刊行した青江舜二郎の傑作戯曲
『法隆寺』を五十年待った人がおられます。
野中堯(のなか・たかし)さんという方で、
今月十六日、「秋田さきがけ新報」文化欄に
「よみがえる昭和演劇の古典」という、
版元にとってもありがたい記事が大きく掲載されました。
それがコレです。
野中さんは、一九三三年生まれ、
高校教師を務められた方だそうですが、
「法隆寺」を初出の雑誌『悲劇喜劇』で読み、感動し、
本になったら買い求めようと思っていたその本が、
半世紀を経た今年、
ようやく刊行されたことになります。
記事の冒頭、
「本県出身の劇作家、青江舜二郎の戯曲「法隆寺」が、
横浜市の出版社、春風社から出版された」の一文に、
公私ともども、縁の不思議を思わずにはいられません。

 ご褒美は梅雨の晴れ間のアイスかな

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裸でプラプラ

 

 足柄や富士を仰ぎて初夏の風

近所のひかりちゃんりなちゃんご一家の車に乗せてもらい、
この休日、
沼津方面のドライブを愉しんでまいりました。
山は十メートル先が見えないほどのガスがかかり、
やむなく引き返さざるを得ない場面もありましたが、
一年ぶりに訪れた沼津の街をぶらり散策。
獲れたてのネタで握ったお寿司は
何と言っても美味しいわけで、
荒れた海上にはカイトがビュンビュン揺れています。
今回の旅で、自分のイカ好きを再発見、
とくに、
「沼津みなと新鮮館」に入っている
「えび伝」さんのイカの姿丸焼き380円は、
イカの旨みがぎゅっと詰まって、しかも柔らかく、
美味かったあ!!
鍼灸の先生から「ご褒美はときどき」と
戒められており、
その言葉と先生のやさしくも厳しい顔が
チラと頭をかすめましたが、
急遽この日を「ご褒美の日」としたことで、
わたしの迷いは吹っ飛びました。(なんだかなあ)
帰りは三島の極楽湯でひと風呂浴び。
露天風呂が広くて気持ち好かったあ!!
空を見上げながら風呂に浸かり、
熱くなったら、
湯舟から出てプラプラ歩くもよし、
椅子に座って呆けるのもよし、
裸はやっぱり気持ちいい!
てえことで、
濃密充実の休日でした。
終日ドライバーを務めてくれたパパさん、
お疲れ様でした。
そして、ありがとうございました。

 雲晴れて今忽然と夏の富士

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