従姉

 

 過ぎ去ればほぼ半分の五月かな

家に帰ったら、留守電に一件登録がありました。
秋田弁で名前を告げていましたから、
すぐにわかりました。
電話をしてくるのは初めてのことです。
わたしの父の姉の長女(ややこしい)で、
いとこのなかで一番年上です。
父の妹よりも年上で、
電話をくれた従姉にしてみれば、
自分より年下の叔母が三人いることになります。
ややこしいですが、
昔はそういうことが、よくあったんですねぇ。
早くに結婚して、
遅くまで子どもをたくさん生み、育てますから、
必然そうなります。
しばらくしたら、
また電話がかかってきました。
入院先の公衆電話からとのことでした。
暇ですることもなく、
俳句や短歌を作ったから、
批評してほしいとのことでした。
大学ノートに書き付けたものもあるから、
お盆に帰省したとき、見てほしい…。
わたしのつくる俳句は極めて我流で、
批評できるほどのものは持ち合わせていないけれど、
そんなことはこの際関係ないと思いましたから、
電話口で暗唱してみせる従姉の俳句や短歌について
感じたままを正直に伝えました。
電話を切った後、
いろいろあったであろう従姉の人生に
思いを馳せました。

 山椒の芽唇腫らすを待ちにけり

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